遺族に労災情報不開示違法の判決
NHK 関西 NEWS WEB 06月05日 20時35分
行政機関が保管している労災で死亡した人に関する個人情報を遺族の求めに応じて開示すべきかどうかが争われた裁判で、大阪地方裁判所は開示を拒んだ行政機関の対応を違法だとする判決を言い渡しました。
この裁判はかつてアスベストを扱う仕事に携わり、中皮腫で死亡した男性の遺族が、労働局が保管している男性の労災記録などの個人情報を開示するよう遺族が求めたところ、死亡した本人ではないことを理由に拒まれたため、不当だと訴えていたものです。
5日の判決で大阪地方裁判所の三輪方大裁判長は、「遺族はアスベストによる健康被害の国の救済策の対象に該当するか確認するために開示を求めていて、死亡した男性の個人情報は遺族にとっても本人の情報といえる」という判断を示しました。
そのうえで行政の円滑な運営が阻害されるわけでもないのに開示しなかったのは違法だとして、労働局の行った不開示決定を取り消しました。
遺族側の谷真介弁護士は「家族が災害などに巻き込まれて亡くなった際、その個人情報は遺族にとって知りたい情報だ。国は控訴すべきではない」と話しています。
判決について厚生労働省は「内容を十分に精査し、関係機関と協議したうえで対応したい」とコメントしています。