統計不正での労災追加給付 不当に抑制と申し立て 室蘭のアスベスト遺族
北海道新聞 2019/07/06 08:31 更新
〔写真〕不服申し立てを行い、記者会見する支援団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の職員=5日、札幌市中央区の道庁本館(写真を一部加工しています)
アスベスト(石綿)被害で労災認定され、6月に死亡した室蘭市の男性=当時(66)=の妻が、厚生労働省の毎月勤労統計不正を受けて労災補償金を追加給付された際、正社員時でなく、再雇用後の低い賃金を基準としたため、給付額を不当に抑えられたとして5日、北海道労働者災害補償保険審査官に不服申し立てを行った。支援団体によると、統計不正による追加給付を巡る労災給付額の不服申し立ては全国で初という。
妻の代理人を務めた「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」(東京)によると、男性は1976年から室蘭の建築資材会社で働き、石綿製品を扱った。2013年に定年退職し、嘱託社員として再雇用され、14年に胸膜中皮腫と診断された。15年に労災認定され、休業補償と傷病年金を受給していた。
統計不正を受け、6月に約3千円の追加給付を受けたが、石綿を吸った正社員時より2割低い嘱託社員時の賃金に合わせて算定されたため、妻が見直しを求めた。また、これまでの受給額も低い賃金を基に決められたとして不服を申し立てた。減額分は約300万円に上るとしている。
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