日本刀抜いて脅す事業主も/全労働が監督官調査/半数以上が「身の危険」経験
20190903連合通信 https://www.rengo-news-agency.com
労働基準監督官が事前連絡なしで立ち入り調査(臨検監督)などを行った際、事業主の言動で身の危険を感じたり、実際に暴行・脅迫を受けたりする事例が少なくないという。全労働省労組(全労働)がこのほど行った監督官アンケートによると、身の危険を感じた割合は45%、暴行・脅迫を受けたのは17%に及ぶ。中には「日本刀を抜かれ『殺す』と脅された」ケースもあったという。
調査は、全労働が行っている行政研究活動の一環として実施。全国の労働基準監督官に職務を巡るさまざまな問題を尋ねた。
その中で「臨検時やその後の対応において、事業主などの言動によって身の危険を感じたり、暴行を受けたりしたことがありますか」を質問。現時点で約千人の監督官が回答している。
●有効な安全確保策を
アンケートの自由記入欄には、監督官が臨検先で経験した過酷な実態が報告されている(表)。日本刀や包丁を持ち出されたほか、平手打ちや体当たりなどの暴行もある。「海に沈める」「ぶっ殺す」「(監禁されて)無事に帰れると思うなよ」などの脅しも少なくない。
全労働はこうした実情を踏まえ、厚生労働省に対して(1)実態把握と原因分析を行う(2)有効な安全確保策を講じる(3)監督業務などに俸給の調整額の適用を図る――などの対策を求めている。1人で臨検するケースもあり、複数監督が必要だと訴えている。
森崎巌副委員長は「困難で危険な職務には俸給の調整額が支給されている。麻薬取締官や国税専門官などだ。監督官にも同様の調整額を認めることで、困難性・危険性があることをはっきりさせ、本気で安全確保のための対策を講じるよう求めたい」と語っている。
〈表〉監督業務の過酷な実態(自由記入欄から)
日付:2019-09-02