最賃一律・引き上げを 全労連など集会 与野党議員から賛意
しんぶん赤旗 2019年10月1日
全労連・国民春闘共闘委員会・東京地評・東京春闘共闘会議は30日、最低賃金の全国一律制や時給1500円への引き上げをめざす集会を衆院第2議員会館で開きました。日本共産党など野党に加え自民党最賃議連の代表が出席。すべての議員から全国一律制や格差是正について賛意の声が上がりました。(関連5面)
主催者あいさつした小田川義和全労連議長は、「与野党が出席するのは初めてだ」と強調。全国一律の訴えは自治体にも共感が広がっており、全労連の最低生計費調査でも人並みの暮らしには時給1500円がどこでも必要だと指摘しました。米国でも欧州でも最賃引き上げは世界の流れだと強調しました。
日本共産党の宮本徹衆院議員、倉林明子参院議員、自民党最賃議連の務台俊介衆院議員、立憲民主党最賃チーム座長の末松義規衆院議員、国民民主党の奥野総一郎衆院議員、社民党の福島瑞穂参院議員が出席。れいわ新選組の山本太郎代表がメッセージを寄せました。
宮本氏は、人並みに暮らせるよう時給1500円を政治が保障し、全国一律の制度にしなければならないと強調し、「超党派で実現のために頑張る」と述べました。
他党議員も「どこにいても基本的な賃金は同じにしないと東京の一極集中が加速する」(務台氏)、「中小企業支援を行い、1300円、全国一律にする」(末松氏)、「1500円をやらないでどうする」(奥野氏)、「コンビニはどこでも価格が一緒。最賃も一律にすべきだ」(福島氏)とあいさつしました。
基調報告で黒澤幸一全労連事務局次長は、中小企業支援と一体で1500円実現と、来年春を目標に全国一律制への法改正を目指そうと呼びかけました。
最低生計費調査を監修した中澤秀一静岡短大准教授が講演しました。
最賃上げ経済好転 「安心の暮らし、中小企業潤す」
労働者・与野党議員 院内集会で訴え
全労連や国民春闘共闘などが30日、衆院第2議員会館で開いた最低賃金にかんする集会。与野党の議員や労働者が大幅引き上げと全国一律制度を求める声をあげました。
日本共産党の宮本徹衆院議員は、参院選で直ちに時給1000円にして1500円をめざすこと、全国一律最賃制の実現を訴えたことを報告。最賃は健康で文化的な最低限度の生活を保障していないこと、全労連の最低生計費調査でも全国どこでも時給1500円が必要であり、中小企業への支援と一体で行うべきだと述べました。「超党派で力を合わせて、全国一律最賃制度と1500円への引き上げに頑張る決意です」と訴えました。
自民党最賃議連事務局長を務める務台俊介衆院議員は、「国が“東京は高くて鹿児島が低くていい”と認めて後押ししていいのか。若者が東京に集中する傾向を最賃が助長している」と指摘。最賃政策を「自民党として正面に持っていけるように議連として頑張りたい」と述べました。
立憲民主党の末松義規衆院議員は、参院選で時給1300円を掲げたことを紹介し、「労働者の賃金を上げれば消費力が増える。所得アップ型主導の経済をつくることだ」と強調。
社会保険料の支援など中小企業支援が必要だと述べました。
国民民主党の奥野総一郎衆院議員は「最賃を引き上げ、安心して暮らして消費が増えれば経済がよくなり、中小企業も潤う」と訴え。「これが日本の経済を良くする最善の経済政策であり、人びとの暮らしをよくする最善の策だ」と述べました。
社民党の福島瑞穂参院議員は、東京で最賃1000円を超えたが、まだ不十分だとして、全国一律最賃にして時給1500円にすべきだと述べました。
れいわ新選組の山本太郎代表がビデオメッセージを寄せ、最低賃金を1500円にするよう政府補償で実現したいと述べました。
労働力流出の要因に 中澤准教授が報告
中澤秀一・静岡県立短大准教授が、全労連・地方労連の協力を得て行ってきた最低生計費試算調査について報告しました。
これまで19都道府県で行っており、今年、京都府1639円、山口県1612円、鹿児島県1584円、長崎県1499円などが明らかになりました。
中澤氏は、現行の最低賃金は、相対的な貧困ラインを下回っていると指摘。「生活の『質』を伴った普通の暮らしをするためには、都市でも地方でも月額22万円〜24万円(税・社会保険料込み)が必要だ」とし、「時給換算すると、月150時間労働で1500円〜1600円ほど」と示しました。
もう一つの問題点は格差です。「隣接する都府県間の格差は労働力流出の要因となっている」として、顕著な神奈川―静岡の両県境の例を示しました。
「格差を是正し、貧困をなくすという意味で、全国一律賃金こそがカギを握っている」と語り、「全国一律・最低賃金を底上げしていくことで、地方でも、良質な雇用が創出され、人がとどまり、地域経済が活性化する」と強調しました。