労働者の権利をユーチューブで啓発 大津労基署チャンネル
https://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20191205/CK2019120502000008.html
中日新聞 2019年12月5日
〔写真〕大津労基署のYouTubeチャンネル(YouTubeから)
全国に三百二十一ある労働基準監督署の中で唯一、大津労働基準監督署が、動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」に公式チャンネルを開いている。労働条件や労働災害防止に関わる短い動画をテーマごとに配信しており、枡谷佳幸副署長は「空いた時間で必要な情報を得たい方に、ぜひ見てもらいたい」と話す。
大津労基署では法改正があった際などに、説明会の開催や企業への戸別訪問で趣旨を説明してきたが、幅広く情報発信しようと、昨年八月からユーチューブへの配信を始めた。これまでに、最低賃金や労働災害などに関わる約三十本の動画を配信。説明会などを開くと紹介に二時間程度かかるが、テーマを絞り、一つの動画を五分程度にまとめるよう工夫している。
その中でも、四月から順次施行されている働き方改革関連法を説明した動画が、再生回数が増えている。最も再生回数の多い「残業時間の上限規制」では、「極端な例では月二百時間の時間外労働を行わせることも可能だったが、改正法施行後は、複数月で平均八十時間以内、単月で百時間未満となり、過労死ラインが明確になった」などと解説している。
続いて再生数が多い「年五日間の年次有給休暇の取得」では、「日本の有給取得率は他国と比べて少ない。ブラジルは年間三十日あり、100%取得している」と説明。県内に多くあるブラジル人を雇う企業に、文化の違いへの注意を呼びかけている。枡谷副署長は「これらは、企業の担当者だけでなく労働者も関心があるため、再生が増えたのでは」と分析する。
大津労基署には日系ブラジル人からの相談も多く、今後はポルトガル語の字幕を付けた動画も配信予定だ。それでも、チャンネルの登録者数では苦戦中。枡谷副署長は「労働者も自分の権利をしっかり確認するために、知識を身に付けてほしい」と登録を呼び掛けている。
(堀尾法道)