日俳連が芸能分野フリーランスの労災保険加入を要望
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日刊スポーツ [2019年12月21日21時47分]
〔写真〕日本俳優連合の西田敏行理事長
俳優らでつくる「日本俳優連合」(日俳連、西田敏行理事長)が、俳優やダンサーなど芸能分野で働くフリーランスを労災保険の適用対象に加えるよう厚生労働省に求めることが21日分かった。俳優らは個人事業主などとして雇用関係がないことが多く、仕事でけがや病気になっても公的な補償が受けられない。兼業・副業を推進する政府は、増加が見込まれるフリーランスの就労や契約問題に対し、保護策の検討を進めており、今後の議論を後押ししそうだ。
労災保険は原則企業などに雇われた人が対象。フリーランスのような自営業者でも労働者と似た働き方をしていると認められる場合、例外的に「特別加入制度」が設けられている。個人タクシーの運転手や建設現場の一人親方などの職種が対象で、治療費や休業補償などが受けられる。ただ、保険料は雇用主が支払う労働者の場合と異なり自己負担となる。
日俳連によると、俳優らは所属する芸能事務所を通じて仕事を受注し、現場では監督や演出家の指揮下で活動することが多い。労働者に近い働き方とされる。
芸能分野では俳優らが舞台で殺陣やダンスを披露したり、技術スタッフが大道具を製作したりする際にけがのリスクがある。最近では、パワハラなどハラスメントが深刻化し「うつ病になり仕事を切られた」などの相談も増加。途絶えた収入や自費扱いとなる治療費への補償を求める声が強まっていた。
厚労省も300万人超とされるフリーランスの労災の対象拡大に向け検討を進めており、昨年は家政婦などを追加。日俳連や落語芸術協会など芸能分野の複数の団体は20日、対象拡大を要望することを確認。実現すれば約1万人が新たな対象になり得るという。
特別加入制度には、タクシー運転手や一人親方などが入るグループ以外に農作業や介護作業などをまとめた「特定作業従事者」がある。日俳連はこれに「芸能実演家」の追加を要望。日俳連が中心となり、加入申請の受け皿となる「特別加入団体」を設立し、厚労省に認可申請することを検討している。(共同)