テレ朝「報ステ」で大量派遣切り…年の瀬に非情な通告が (12/24)

テレ朝「報ステ」で大量派遣切り…年の瀬に非情な通告が
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/266708
日刊ゲンダイ 公開日:2019/12/24 14:50 更新日:2019/12/24 16:48

〔写真〕「報道ステーション」で働く中核派遣スタッフ10人以上が一斉契約終了(C)日刊ゲンダイ

 テレビ朝日系の看板番組「報道ステーション」で働く派遣スタッフが、大量に“解雇”通告されたことが日刊ゲンダイの調べで分かった。対象は10年以上の長きにわたって番組を支えてきた中核メンバーがほとんどで、10人以上が一斉に契約終了という異常事態。報ステに一体、何が起きているのか。

 テレビ局の報道番組は、いまや社員より外部プロダクションからの派遣契約スタッフが中心になって制作されている。報ステも例外ではなく、主軸は契約スタッフで、そのうちの約2割にあたる10人強について先週、それぞれの派遣元の会社がテレ朝側から、「来年3月末限りで契約更新しない」と言い渡された。

 その旨は、先週金曜(20日)の番組終了後の反省会で他のスタッフらにも知らされ、テレ朝幹部が「社員の人事異動に伴い、スタッフで長い方も番組を卒業することになりました」と言うと、その場に衝撃が走ったという。

 10年以上継続して報ステに携わってきたスタッフは一律で契約終了。能力の高い優秀な人ばかりで、2004年の番組スタート時からの人も含まれるという。

 テレ朝側は「他の番組を紹介する」とは言っているものの、先のことは分からない。30代後半〜40代、家族持ちもいて、年の瀬の非情なクビ通告に、ショックと不安で休んでしまった人もいるという。

■報道機関が“下請けイジメ”の唖然

 通告を受けた2人に話が聞けた。

「自分の希望で番組を替わることや、番組自体が終了するので交代ということはあっても、長く勤めているからという理由で十何人もまとめて一度に契約終了という話は初めてです。納得できません」

「政治や社会問題を伝える側である報道番組がこんな卑劣なやり方で契約を打ち切る。あってはならないことだし、許せない。悔しくて眠れないほどです。3年前に古舘キャスターが降板し、新体制になった際、テレ朝側から『辞めないで続けてほしい』と言われ、懸命に支えてきたのに、残念でなりません」

 突然の中核メンバーのクビ切りに、残るスタッフからは「テレ朝は番組を潰そうとしているのか」「報道色をなくそうとしているのか」との疑念も上がる。背景には、「プロデューサーのセクハラなどで悪化したイメージを人心一新で刷新」というスポンサー対策も見え隠れする。派遣スタッフはそのとばっちりを受けた形だ。

 テレビ朝日の広報部は23日、日刊ゲンダイの取材に対し、今回の派遣切りの事実を認めたうえで、番組リニューアルに伴うものだと説明した。弱い立場の“下請けイジメ”。いまどき、上場会社である報道機関がやることなのか。


報道ステーション 2020年4月「全面リニューアル」へ
https://bunshun.jp/articles/amp/22133?page=1&fbclid=IwAR00LvNzZoExmMrtt2BD4b9DjB0VAYlL6UEx898mRuLWg-UtNH3gFmt75Oc
「週刊文春」編集部3時間前コメント

 テレビ朝日の看板報道番組「報道ステーション」が、2020年4月に、セットやテーマ音楽など、番組全般について全面リニューアルすることが「週刊文春」の取材でわかった。これに伴い、番組に携わる局員や社外スタッフを大量に異動させたり契約を終了し、「人心一新」を図っているという。

 報ステの番組制作を取り仕切るチーフプロデューサー(CP)は、女性キャスターへのセクハラ行為でこの夏に解任されたが、新CPも2020年3月一杯で報ステを離れることが内定した。就任から7カ月で番組を去るのは異例。さらに他の局員5人も、2020年1月1日付で異動する。テレ朝局員が語る。

「さらに大問題になったのが社外スタッフです。10年以上報ステに在籍するニュース班のスタッフを対象に、10人前後が3月末での契約終了を宣告された」

©AFLO

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番組スタッフは、現在の報ステの現場の雰囲気をこう明かす。

「前CPのセクハラは十分な調査が行われなかった。正社員は問題を起こしても異動になるだけで高給も変わらないのに、社外スタッフが『人心一新』のために“派遣切り”されるなど、到底納得できないという雰囲気です」

 テレビ朝日広報部に聞くと、書面で、概ね次のように回答した。

「報道ステーションは、放送開始から15年を過ぎ、当社アナウンサーの富川悠太がメインキャスターを務めてからも、来春で丸4年を迎えます。平成から令和へと時代が変わり、東京オリンピックを目前に控えた来年4月のタイミングで、番組の制作体制を一部変更し、セット、番組オープニング、テーマ音楽など、番組全般についてリニューアルすることとしました。この一環として、当社社員の一部について、1月1日付で入れ替えを行います。また、ニュース班派遣契約スタッフの約2割にあたる10人程については、来年3月までの契約期間満了後、契約を更新しない旨、話しています。なお、それぞれの派遣元の会社に、当社の別の報道情報番組などの制作に携わっていただけないか提案しています」

メインキャスターを務める富川アナ(『報道ステーション』HPより)

 12月26日発売の「週刊文春」では、「桜の会」報道を巡り世耕弘成自民党参院幹事長から抗議を受けた「印象操作」騒動の内幕や、早河洋会長の本音、報ステのカラーを塗り替える「3段階計画」などについて詳報している。

 

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