アマゾン施設で偽装請負 二重派遣の疑いも 元社員ら「指揮命令が常態化」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2020-02-08/2020020801_01_1.html
しんぶん赤旗 2020年2月8日(土)
インターネット通信販売大手の米アマゾン・ドット・コムの日本法人アマゾンジャパン(東京都目黒区)が運営する物流センターで、違法な偽装請負と二重派遣が行われている疑いのあることが、日本共産党の倉林明子参院議員と本紙の調べで分かりました。(関連記事)
(写真)アマゾン小田原物流センターの従業員入り口=神奈川県小田原市
日本各地にあるアマゾンの物流センターでは、ファイズオペレーションズ(大阪市)やワールドインテック(福岡市)などの請負業者が派遣労働者を使い、庫内業務の一部または全部を請け負う形をとっています。しかし実際には請負業者は独立して仕事を完成させておらず、請負業者の社員らに対してアマゾン社員が指揮命令する関係が常態化していると、各社の元・現社員らが証言しました。注文主と労働者の間に指揮命令関係があれば労働者派遣事業に該当し、注文主に労働者保護の責任が生じます。請負を装って責任を回避すると労働者派遣法違反の偽装請負となります。
進捗や残業も
元・現社員らによると、アマゾン物流センターでは、出勤者数に応じて処理できる物流量を計算し、生産計画を立てます。ところが計画決定の権限は請負業者の社員になく、アマゾン社員が常に点検して指図をするか、アマゾン社員が自ら計画をつくってメールで全体に配信しています。商品の破損などのトラブルが発生したら即座にアマゾン社員に報告し、判断を仰ぐことが求められます。
アマゾン社員が主催し請負業者の管理職が参加する「進捗(しんちょく)会議」を数時間おきに開き、作業の進み具合を確認して全体に指示を出しています。残業の有無を決め、「残業集め」(残業できる人の募集)を請負業者に指示するのもアマゾン社員です。
職安法に違反
神奈川県小田原市にある国内最大のアマゾン物流センターでは、商品の収納棚を整理する工程や品質管理の工程で、請負業者が使用するはずの派遣労働者らをアマゾン社員が直接の指揮下に置いて働かせています。
全体として、請負労働者が注文主アマゾンから指揮命令を受けなければ仕事が完成しない構造となっており、偽装請負の疑いが濃厚です。偽装請負は行政指導や企業名公表などの処分の対象です。
請負が偽装ならば、派遣会社から請負業者へ派遣された労働者は実態として再度アマゾンに派遣されていることになり、職業安定法違反の二重派遣に当たります。二重派遣には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が適用されます。
本紙はアマゾンジャパン、ファイズ、インテックの3社に労働者らの証言を伝え、違法の疑いについて質問しましたが、3社は回答しませんでした。
直接雇用に切り替えを
参院議員 倉林明子さん
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アマゾンの物流センターでは労働者が低賃金で過酷な業務に従事しています。アマゾンは請負業者への業務委託を装って労働者に対する法的責任を回避しつつ、人件費を削り、派遣労働者を雇用の調整弁として扱っている疑いがあります。
違法な手段でコストを抑えて市場侵攻を図ることは許されません。アマゾン社員の指揮命令がなければ物流センターの業務が円滑に回らない実態は、アマゾンが労働者を直接雇用すべきであることを示しています。直接雇用に切り替え、賃金や休憩時間、施設内の温度・湿度などの労働条件を改善して、ネット通販最大手の地位にふさわしい社会的責任を果たすべきです。