毎日新聞 最低賃金:引き上げ議論大詰め 労働者から切実な声

毎日新聞 2012年07月22日

「少しでも条件のいい仕事を」と、パソコン端末で情報を探す求職者たち=札幌市のハローワーク札幌北で2012年7月18日、市川明代撮影

今年度の最低賃金引き上げの目安額を決める国の中央最低賃金審議会の議論が大詰めを迎え、来週中にも決定する。焦点となるのは、最低賃金が生活保護の給付水準を下回る北海道など11都道府県と、震災による経済的ダメージへの配慮で昨年度は1円アップにとどまった被災地をどうするかだ。ぎりぎりの低賃金で働く人たちから、引き上げを求める切実な声が上がる。

 ◇11都道府県で生活保護費下回る

バブル崩壊後の不況が今なお続く北海道。札幌市東区のハローワーク札幌北には「時給705〜705円」の求人票が目立つ。705円は北海道の最低賃金。「『昇給あり』と書いてある職場で働いても、上がったためしがない」。東区の独身女性(46)が顔をしかめた。

現在フルタイムのパート勤めをする小売店の時給は最低賃金で、週休1日でサービス残業もあり、体がきつく転職を考え始めた。北海道の最低賃金は、札幌の生活保護費を時給に換算した額を30円下回る。女性の収入は甲状腺を患い生活保護を受けている友人とほぼ同額だが、友人の暮らしも同じくらい厳しい。「生活保護を下げるべきだとは思えない。これだけ働いて生活が楽にならないのがおかしい」と憤る。

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