2011年度にうつ病などの精神疾患で休職した公立小中高校などの教員が5274人に上った。県内は158人で全国で7番目に多いという状況が明らかになった。前年度と比べて全国は133人減り、県内は3人減と微減状態だ。全国で7番目に多いという県内教育現場の現実を深刻に受け止めなくてはならない。
文部科学省の別の調査によると、国内全体の精神疾患患者数の伸びは2008年までの10年間で1・58倍なのに対し、教員は2・84倍だ。仕事で感じるストレスでも一般企業の労働者は職場の人間関係を1位に挙げているのに対し、教員がストレスの最大理由に挙げているのが仕事量だ。教員を多忙にしている環境に目を向ける必要がある。
学校現場には文部科学省、県教育庁、市町村教育委員会などからさまざまな調査業務の依頼がある。2012年度だけでも文科省は28件の調査を求め、これ以外にも各教委から「英検を取得した生徒数」「プールの注水日」など多岐にわたる要求があり、報告は100以上になるという。
教員がこうした事務作業に追われ、児童生徒と向き合う時間を奪われ、さらに精神疾患で休職するとしたら本末転倒だ。こうした調査業務を大幅に減らすべきだろう。
さらに教員の孤立化も浮かび上がる。文科省調査では職場のストレスを相談できる相手として上司・同僚と回答したのは一般企業の労働者は6割を超えているが、教員は14・1%にとどまっている。職場の誰にも悩みを打ち明けられない学校現場の職場改善も急務だ。
こうした結果を受けて文科省は調査、照会など事務負担の軽減など校務の効率化、気軽に相談できる職場環境づくり、メンタルヘルス不調者の早期発見と治療、相談体制の充実などの対策に乗り出すよう各都道府県教委などに通知した。当然の措置だ。
さらに本年度中に教員の精神疾患の詳細な実態調査を実施する。関係機関は実態をしっかり踏まえた上で、学校運営の適正化と教育環境の改善に本腰を入れてほしい。
学校教育は教員と児童生徒との人格的な触れ合いを通して育まれるもので、教員は児童生徒を導き、励まし、支えていくのが任務だ。その教員が心身ともに健康を維持して教育現場に立てる環境を最低限保障しなければならない。