服部信一郎 オランダの青年雇用戦略

オランダ・ベルギーの「若者雇用政策」を勉強しています。いずれの国もオランダモデル、ベルギーモデルとして30年近い政策形成過程があります。その評価には意見が分かれるかも知れませんが、若者雇用政策を政労資で取り組みつづけ成果をあげている点を現在の時点でどう捉えるべきかに関心があります。1997年の「ヨーロッパ雇用戦略」は若者の就労支援を義務づけ6カ月以上(スエーデンは3カ月)の失業期間を放置せず職業訓練に参加を促す仕組みなどです。日本では「労働者流動化」政策、アメリカ型の解雇自由化と流動化策を法制化する本格的な動きになっていますが、決定的違いがあります。日本における政策提起、運動化の必要性をひしひし感じています。実際にオランダで聞いてみました。若者雇用政策が生きる背景を掴んだ気がしました。「社会全体が週4日38時間労働制で成り立っている」ここだと思いました。若者雇用対策は未来社会問題として捉えられており、国民合意にあることに驚かされました。2年間の職業訓練、引きこもり若者についても介護ヘルパー事業などに参加する仕組みがありました。2年間以降も社会的援助を受けて就労機会を作り出す若者がいます。もちろんホームレス対策も手厚いものでした。大企業が少なく中堅企業が多く無茶な企業が少なく点もあります。しかし、昨年半年間無政府状態となったそうです。オランダは今や移民労働者が過半数となるほど受け入れてきました。ニューヨーク以上の多国籍化で、失業対策に巨額の税金が使われることから、右翼政党が台頭し、自民党と労働党連立政権を揺るがす事態となったそうです。それでも「若者雇用政策」が30年以上の歴史を重ね、さらに改良される運びにあります。人口減少の「縮小社会」といわれる大問題に挑戦するヨーロッパ、目先の「景気回復」「株価」「為替」を目標にした程度のアベノミクスは、「若者」を犠牲にした先細り日本を作り出しているようにしか見えません。

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