「『医療崩壊』を防ぐために必要な対策を求める」要請書を厚労省に出しました。
2020年04月08日 〔医労連HP〕
2020年4月7日
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
厚生労働大臣 加藤 勝信 殿
日本医療労働組合連合会
中央執行委員長 森田しのぶ
(公印省略)
「医療崩壊」を防ぐために必要な対策を求める要請
国民のいのちと健康を守るためご尽力いただいていることに対し、敬意を表します。
私たち医療・介護・福祉の職場で働く仲間は、新型コロナウイルスの感染拡大の中、懸命に国民のいのちと健康を守るために、自らの感染リスクの恐怖ともたたかいながら、現場で必死な奮闘を続けています。イタリアや米国ニューヨークで起こった「医療崩壊」を引き起こさないためには、国の責任によって、迅速かつ的確な対応が必要です。
今現在の医療・介護・福祉の現場実態から、以下の要請を行います。速やかに、そして的確に、要請内容が実施されることを切望します。
【要請項目】
1.保健所の増設と機能強化、公立・公的病院等の再編・統合計画を中止し、地域の意見を十分に踏まえて、感染症病床を含む必要な病床を確保すること。また、病床確保のために必要な財政負担は国の責任で行うこと。
2.感染症の拡大や災害支援など、不測の事態においても充分な対応が可能となるように、現場の実情とかけ離れた医師・看護師の需給推計を見直し、医師・看護師・介護職員などの大幅増員を行うこと。また、感染症対策時に必要な医療技術を有する従事者を早急に育成すること。
3.医療従事者が安心して働く上で必要な院内保育所の機能を充実させ、十分な保育士の配置数に引き上げ、公的補助を増やすこと。また、医療・介護・福祉関係者に対する誹謗中傷、風評被害の防止を国の責任で行うこと。
4.感染拡大に対する的確な手立てが迅速に取れるよう、県や自治体に手立てを押し付けることではなく、国が責任をもって対策にあたること。
5.感染の有無を調べる安全な PCR 検査体制の拡充を急ぎ、医師が必要と判断した国内にいる全ての方が検査および治療ができるような対策を早急に取ること。
6.医療機関や介護・福祉施設へ、マスクや消毒液などの衛生材料が充分に行き渡るように早急な手立てを行うこと。
7.必要な感染症病床の確保と、公立・公的病院をはじめ、協力するすべての医療機関や介護・福祉施設が充分な感染症対策が行えるよう、公的資金による財政支援を行うこと。
8.感染症拡大により経営悪化した医療機関や介護・福祉施設の経営を支えるために、緊急の診療報酬・介護報酬の引き上げ、あるいは直接の助成金を手当てすること。
9.雇用調整助成金制度を柔軟に活用できるようにし、感染症の影響による休業時や、罹患時に労働者が安心できる内容の賃金保障を行うこと。
10. 受診抑制の根本原因でもある、国保証の取り上げを止めてすべての加入者に届け、患者窓口負担を引き下げること。
以上
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