毎日新聞 2013年09月17日
警視庁の女性警察官採用者数と退職者数
警視庁は17日、女性職員の能力を積極的に生かすための指針をまとめた。女性警察官の育児の負担を軽減するため、男性警察官に育児参加を促すことが柱。「警察は男社会」という見方を改め、女性職員を対等な仲間と認識する意識改革も課題に掲げた。
警視庁の女性職員約4900人のうち既婚者は約2700人。その約8割の約2200人は同庁の男性職員と結婚している。警察官同士の夫婦が多いため、男性職員が育児に参加すれば、女性職員がその分、仕事に力を注ぎやすくなる、というのが指針の考え方だ。ストーカーや配偶者暴力などの相談が増加し、被害者に対応する女性警察官の役割が高まっていることも指針作成の背景にある。
警視庁では、女性警察官の約2割が採用から10年以内に結婚や出産などで退職している。一方で、男性警察官の育児休暇の取得はほとんどゼロ。今後は指針の具体化に向け、育児を抱える男性警察官が休暇を取りやすい職場環境にしていくという。
意識改革については、「女性職員は使いづらい」といった決めつけを払拭(ふっしょく)し、出産・育児を経た元職員にも職場復帰したいと思ってもらえるような職場づくりを進めるよう求めた。育児を終えた退職者を再採用する制度も検討課題に挙げた。
警視庁警察官のうち女性が占める割合は7.9%だが、警視か警部の幹部に絞ると1.9%にとどまる。また女性専用のトイレや休憩室が完備されている交番は12%の100カ所にすぎない。こうした状況を受け、能力に応じた女性の積極的な登用や、施設の改善も指針に盛り込んだ。【鮎川耕史】