イ・ナムシンさん 「配達ライダーは労働者だ」 (11/7)

イ・ナムシン「配達ライダーは労働者だ」
http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=161343
2019/11/07 毎日労働News コラム

(W) 日本でもウーバー・イーツにユニオンが結成されましたが、韓国では以前からバイク便など個人請負形式の働き方が広がっていました。特殊形態勤労従事者(特殊雇用)と呼ばれ、その保護が問題になっていました。この5月に「ライダーユニオン」が結成され、労働者としての権利主張の取り組みが広がっています。そして、その一環としての申請を受けたソウル北部労働庁(日本の労基署に該当)が「労働者性」を認める判断をしました。その意味について、イ・ナムシン前・韓国非正規労働センター長が「コラム」を毎日労働Newsに掲載されました。日本とも酷似した問題です。急いで試訳してみました。〔訳文責: 脇田滋)


(試訳) 配達ライダーは労働者だ
イ・ナムシン韓国非正規労働センター常任活動家

 プラットホーム労働と特殊雇用、非正規職問題が社会的話題に浮び上がっている時、雇用労働部が重要な行政判断をした。労働部ソウル北部支庁が個人事業者として業務委託契約を結んで働く配達アプリ「YOGIYO」配達員が、去る8月、提起した申請に対する結果を先月28日通知して、配達員を労働者と認定したのである。労働部が、配達アプリを通じて働く配達員を労働者と認定したのは初めてである。当事者として持続的に問題提起をしたライダーユニオンは「YOGIYOの偽装請負が確認された」として、プラットホーム業者全般の偽装請負根絶運動に出るとも表明した。

 ライダーをはじめとするプラットホーム労働は、特殊雇用の非正規職問題と直結している。特殊雇用は、実際の労働者や労働者に近く、働いているのにもかかわらず、法的身分は個人事業者となっていて、勤労基準法や社会安全網の恩恵を受けることができない。自営業者と偽装された労働者であるとして偽装自営業者と呼ばれることになる。基本給もなく、事故が起きても本人が責任を負わなければならない。ライダーは、最も急速に増えている代表的な特殊雇用の非正規職職群である。

 注文代行プラットホームと配達代行プラットホームは、使用者責任回避が容易なように形成された代表的な産業構造である。ライダーに事故がおきた時、責任所在が不明である。食物を注文した消費者も、飲食店社長も責任を負わない。配達の民族やYOGIYOなど注文代行業者は、注文を仲介しただけであるのでやはり責任を負わない。ライダーが実質的に所属している配達代行業者も「飲食店ンとライダーの間を仲介しただけ」という理由で責任がないと主張する。皆責任を回避するのに丁度良い構造の下でライダーだけが犠牲の羊になってしまう。一言で言えば、憲法が保障する労働権と常識的水準の労働人権も侵害される死角地帯にライダーが今まで放置されてきたのである。

 特に、配達代行業者はライダーに対する出退勤管理罰金と懲戒、強制配車、休息など具体的な指揮・監督をしていて、使用者責任を負うのが当然である。今のように、使用者責任は放り出したままライダーを一方的に配達市場の危険な構造に追いやるのは当事者と家族はもちろん社会的にも大きな問題になるほかはない。配達代行プラットホーム企業らが法的にも堂々として初めてライダーもより良い条件でやり甲斐をもって働くことができる。

 何よりライダー権益向上と処遇改善のためには法的に労働者と認定されることが前提にならなければならない。問題は、ライダーのようなプラットホーム労働のように産業形態がネットワーク化されていて、直接的な従属契約よりは経済的従属関係で再編される状況では、既存の「労働者(勤労者)」概念が拡大する側に修正・補完されて初めてライダーも労働者として合法的な保護を受けることができる。

 まず一つ強調して労働部に希望する。労働部は今回の判断が申請を提起した配達員にだけ適用されるというが、これは誤っている。YOGIYOだけでなく、ベミンライダーズ・ペミンコネクト・クパンイーツなどの配達員も概して勤務形態が類似している。申請の有無と関係なく、配達員は個人事業者でなく労働者(勤労者)である。特殊雇用の非正規職職種の労働者性認定可否に関連する目を隠してアウンすること形態はもう終わらせなければならない。最近、「タダ」不法派遣論議が熱くなっているだけに、このときに使用者責任を私は知らないといったプラットホーム企業等の偽装請負形態を根絶しなければならない。

 国会も立法をこれ以上先送りしてはならない最近、スペイン、マドリード裁判所ではライダーを労働者と判決したりもしたし、アメリカ、カリフォルニア州議会でプラットホーム労働者を保護する法案が通過されることもあった。すでに、しばらく遅れたがわが国も急いでライダーを労働者と認定して勤労基準法でまず保護する必要がある。そうだから今回の労働部のYOGIYO配達員に対する労働者認定判断は重要な試金石である。

 今は配達時代である。ピザ・チキン・ジャージャー麺・ハンバーガー・トッポッキ・コーヒー・デザートなど、食物と化粧品・コンビニ用品など、多様な商品が家まで配達される。数十万ライダーが労働者として安全に働くことができる時、わが国社会の幸福指数も上がることができ、ライダーが会う顧客にもその幸福気勢が伝えられることができる。今こそ、ライダーを含む特殊雇用非正規労働者たちも憲法が保障した労働三権を享受できるように労働者性(勤労者性)を認められてるのが当然である。配達ライダーは労働者である。

韓国非正規労働センター常任活動家(namsin1964@daum.net)
イ・ナムシン
 

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