第318回 見えてきた経済界におもねた「働き方改革」の時間外労働規制案

 厚労省に設置された「仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する検討会」の第6回会合が1月23日に開催され、これまでの検討の「論点の整理案」が示されました。


その内容は、長時間労働の規制としては、経済界寄りのきわめて腰の引けたものになっています。


?長時間労働の削減を「不本意な時間外労働」に絞り、「仕事をやりきりたい」人がすすんで働くことを是認していること。


?「長時間労働を前提とする企業文化」を変えることを優先し、三六協定における時間外労働の上限規制に関する「法改正」を後回しにしていること。


?より短時間で効率的に働いた人が評価されるよう、「労働生産性」を人事評価の指標として盛り込み、労働時間短縮を個人の働き方の問題にしようとしていること。


?勤務間インターバル休息制度についても法規制を回避し、企業による自発的導入を促すことにとどめていること。


?時間外労働の一律規制を避け、「長時間労働が避けられない」業種・職種について広く適用除外の特例を設けようとしていること。


本日(1月25日)の毎日新聞は、長時間労働の是正策として検討している残業時間の上限規制について、政府は「月80時間」を軸に調整に入ったと伝えています。記事には半年や1年などの期間を単位として規制を設ける場合は、「月平均45時間」などとする案が出ているとありますが、現行の1週15時間、1か月45時間、1年360時間を延長の限度とする指導基準に強制力を持たせる(上限規制を義務づける)案は退けられています。1日についてはもちろん、1週間についても時間外労働の上限を示すことは考えられていないようです。


私は、これまで政府のいう36協定における時間外労働規制は、月80時間ないし100時間を上限として、それの以上の延長を認めない方向での法改正か、監督指導の強化にとどまるのではないかと考えてきました。また、労働時間制度の実現のためには規制の名に値しない過労死ラインすれすれの時間外労働を許容する大甘な改革を認めてはならないと言ってきました。残念ながら、政府の示す是正策はいまのところそうした悲観的見方が当たるようなものになっています。


政府が「働き方改革」を言い出し、その柱として「時間外労働規制」を言い出したいまは、長時間労働の規制と削減のチャンスではありますが、まともな労働時間制度を実現するためには、政府任せ、企業任せにせず、労働組合と、野党と、すべての働く人びとがもっと大きく声を上げていかなければなりません。

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