企業の同一労働同一賃金への対応、「非正社員の基本給増える」60.8%
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サイトウ イサム[著] / 加藤 秀行[著]2020/02/22 11:00 Moneyzine
大企業では4月から「パートタイム・有期雇用労働法」が施行される。同一労働同一賃金への対応を決めている企業では、正社員の待遇は変えずに非正社員の待遇改善を検討する企業が多いようだ。
正規雇用労働者と非正規雇用労働者(パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)の間の不合理な待遇差が禁止される「パートタイム・有期雇用労働法」が、大企業については今年の4月1日から、中小企業については来年の4月1日から施行される。
これにより、同一企業内において、正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止される。また、非正規雇用労働者は正社員との待遇差の内容や理由などについて、事業主に説明を求めることができるようになるほか、事業主は非正規雇用労働者から求めがあった場合には説明をしなければならない。さらに、都道府県労働局において無料・非公開の紛争解決手続きを行い、均衡待遇や待遇差の内容・理由に関する説明についても、裁判外紛争解決手続(行政ADR)の対象になる。
具体的な事例については、同一労働同一賃金ガイドラインにて示されている。例えば、基本給の昇給が勤続による能力の向上に応じて行われるものであれば、また、賞与が業績への貢献に応じて支給されるものであれば、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた昇給を、それぞれしなければならない。なお、現行法においても、労働契約法20条とパートタイム労働法8条・9条において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差は禁止されている。
一方、アデコ株式会社は「同一労働同一賃金導入準備の進捗状況と、導入後の見通しに関する調査(第2回)」を実施し、その結果を2月10日に発表した。調査対象は、4月1日付けで「同一労働同一賃金」の導入が義務付けられている従業員300人以上の企業(大企業)で人事業務に携わっている500名、調査時期は2019年12月20日から23日にかけて。
各企業の「同一労働同一賃金」の導入についての対応方針について聞くと、27.4%の担当者が「すでに決まっている」と回答したものの、「決まっていることもあるが、決まっていないこともある」が57.2%、「まだ決まっていない」が15.4%となり、全体の72.6%が対応方針を完全に決定していなかった。
対応方針が決まっている企業の担当者に、同一労働同一賃金導入後の勤務条件に関する見通しを聞いた。基本給に関する対応方針が決まっている293名の回答は、非正社員の基本給は「増える」が60.8%、「減る」が10.6%、「変わらない」が28.7%、正社員の基本給は「増える」が11.6%、「減る」が17.4%、「変わらない」が71.0%だった。
賞与に関する対応方針が決まっている293名の回答は、非正社員の賞与は「増える」が36.2%、「減る」が5.5%、「変わらない」が27.3%、「現在は支給していないが、同一労働同一賃金の導入により新たに設ける予定」が19.8%、「現在支給しておらず、今後も支給する予定はない」が11.3%。
正社員の賞与は「増える」が8.2%、「減る」が17.4%、「変わらない」が72.0%、「現在は支給していないが、同一労働同一賃金の導入により新たに設ける予定」が1.0%、「現在支給しておらず、今後も支給する予定はない」が1.4%だった。
同一労働同一賃金に向けて対応方針が決まっていない企業が多いものの、決まっている企業では非正社員の待遇改善を行う企業が多数を占めているようだ。