「無給休業、雇い止め…コロナ禍で非正規労働者の事実上、解雇始まっている」専門家が指摘 〈週刊朝日〉 (3/29)

「無給休業、雇い止め…コロナ禍で非正規労働者の事実上、解雇始まっている」専門家が指摘 〈週刊朝日〉
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週刊朝日 2020/03/29(日) 11:33配信AERA dot.

「無給休業、雇い止め…コロナ禍で非正規労働者の事実上、解雇始まっている」専門家が指摘 〈週刊朝日〉

労組の中央組織・連合による電話相談にも切実な声が相次いで寄せられたという
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経営環境の悪化を受け、契約社員やアルバイトなどの非正規労働者の雇用環境が厳しさを増している。2008年のリーマン・ショック後の不況で問題になった「派遣切り」のような大規模な解雇の再来が危惧されている。

「不況期になると、経営者は非正規の人たちを『雇用の調整弁』として扱う。コロナ禍の景気悪化で、すでに『雇い止め』などの事実上の解雇が始まっている」

 インターネット上で加入できる労働組合「ジャパンユニオン」(東京)の菅野存執行委員長はこう語る。

 ジャパンユニオンは2月24日、新型コロナウイルスに関する労働相談の専用窓口を設置、約1カ月で200件の相談が寄せられた。

 例えば、「感染防止を名目に2週間無給で休むように言われた」(医療)など、事業を縮小させた会社側が、適切な対応策を示さずに非正規労働者を休ませるようなケースもある。

 こうした措置は、会社の判断で労働者を休ませた場合、雇用主は休業手当として平均賃金の6割以上を払わなければならないと定めた労働基準法に抵触する可能性もある。

 さらに、契約社員などの有期雇用の従業員について、契約更新せず、契約期間満了を理由に契約を終了させる「雇い止め」に関する相談も出始めた。契約期間満了を理由とする雇い止めは原則的に違法ではない。ただ、雇い止めの理由が不当な場合は無効になることもある。

 非正規労働者たちが苦境に陥ったリーマン・ショックでは、派遣会社との契約を打ち切り、派遣労働者を事実上解雇する「派遣切り」が横行。職を失った非正規労働者らが、日比谷公園にテントを張った「年越し派遣村」で厳しい年越しを体験した。

 今回の雇用環境の悪化は、新型コロナの感染拡大を防止するため、企業が経済活動を止めたり、縮小しているのが原因。企業は事業再開をにらみ、コロナ禍が過ぎ去るのをじっと待つ構えだ。

 終わりの見えない我慢比べが続く中、体力に余裕のある大企業はある程度は「巣ごもり経営」を続けられるが、中小企業は兵糧が底をつくのも早い。

 政府は緊急経済対策で雇用維持の企業に対する補助も検討されているが、企業の「調整弁」の発動はすでに始まっており、一刻の猶予もない。「不当な扱いを受けている人たちの声を吸い上げ、一緒になって政府に窮状を訴えていきたい」
と菅野実行委員長は話している。

(本誌・小島清利)

※週刊朝日オンライン限定記事  


(S.Wakita)リーマンショック以上の経済危機になることが指摘されている。最も弱い非正規雇用労働者にしわ寄せして企業が生き残るという、10年前の状況を再現させることは許されないと思う。この10年間、とくに、安倍政権になってから、非正規雇用が増え続けてきた、そして労働者の賃金は下がり続け、労働組合は弱体化した。それに反して、大企業は、484兆円もの「内部留保」を蓄積してきた。いまこそ、その「内部留保」を吐き出して、社会全体が壊れないようにするべき時だと思う。労働組合は、すべての労働者を代表して、リーマンショックのときに、「派遣切り」で闘わなかったことから、弱体化してしまったという、苦い思いを繰り返してはならない。もし、そうでなければ、労働組合は、4割を超えて増えている非正規雇用労働者から見放されてしまう。「今日の正社員は、明日の非正社員」という、この30年間の現実を直視して、いまこそ、労働者全体のために労働3権の行使をして、すべての労働者を代表する活動をするべき時だ。

 

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