追い詰められる医療現場 労組「保育所から通園拒否」も (4/7)

医労連「政府の公衆衛生政策の誤り露呈」 公立・公的病院再編統合中止や財政負担要請
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医療維新 2020年4月8日 水谷悠(m3.com編集部)

 日本医療労働組合連合会は4月7日に記者会見し、委員長の森田しのぶ氏は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で国公立、公的病院の医療提供体制強化が求められているとして、「政府が進めてきた国立感染症研究所、衛生研究所、保健所などを縮小する公衆衛生政策の誤りが露呈したものと思っている」と政府を批判した。同日、安倍晋三首相と加藤勝信厚生労働大臣に対し、公立・公的病院の再編統合中止やCOVID-19対応に伴う財政負担などを求める要請書を厚労省に提出した。

 4月3日から傘下にある7つの労働組合を通じて、各医療機関の労組に実施した調査結果も公表。全日本国立医療労働組合(全医労)委員長の香月直之氏は、「現場で人、物、お金が不足しているのが実態だ。病院は身銭を切って対応している」として財政支援を求めた。

 調査への主な回答は以下の通り。

【医療提供体制】

ダイヤモンド・プリンセス号での陽性患者を受け入れることとなった病院には系列JCHO病院から医師、看護師など応援スタッフを1週間交代で送ったが、送り出した施設では戻ったスタッフによる2次感染を防ぐために2週間の自宅待機が必要となり、業務に支障を来した。【全日本地域医療機能推進機構労働組合(全JCHO)】
病床確保と言っても、ベッド数だけでなく設備があるベッドなのか。陰圧だけでなく、配管設備などの点検も必要。【国家公務員共済組合連合会病院労働組合(国共病組)】
不採算医療への補助金が削減される中で、結核病棟の閉鎖・縮小など、非効率とされる分野からの撤退が続いている。そのため、専門的な知識や技術、専門の施設や機材が今回のような事態に対応できない。【全医労】
スタッフの感染が確認された大学病院から医師らが来ることができず、形成外科などで手術を延期するなどの対応。その他内科などの医師も数人自宅待機を命じられている。診療放射線技師も配属されるべきだった人が配属されず大変。【全JCHO】
認定看護師(感染症)の業務負担増。保健所からの依頼があれば、土日も出勤。【全JCHO】
【感染対策、収入減など】

外来看護師の多くが短時間パート職員で、今回のような緊急対策が求められる場合に問題が生じている。病棟からの応援でしのいでいる。【全医労】
行政の要請を受け、帰国者・接触者外来を設けるために工事中。【全日本赤十字労働組合連合会(全日赤)】
コロナ患者がいるらしいとの情報により外来患者そのものが減っているので、今後の経営を心配している事業所もある。【全国厚生連労働組合連合会(全厚労)】
多くの病院でマスクが決定的に不足している。「1週間に1枚」と指示されているところもある。【全医労】
医師はマスクが1日1枚だが、同じように患者に接する看護師は2日に1枚。使用済のマスクをビニール袋にしまって、2日使用することの感染リスクを考えると納得いかない。患者と1日中ふれ合う看護師と医師に線引きが要るのか。【全国労災病院労働組合(全労災)】
【差別的扱いなど】

帰宅してもばい菌扱いされ、精神的にも休息できる場がない。【全労災】
面会禁止が長引いて、患者から苦情を直接ぶつけられ、ストレスが大きい。【全労災】
感染者が出たことで、病院近くの保育園が閉鎖された。感染した職員が子どもを預けていたわけではなく、単に病院に近いことと、非感染者ではあるが病院職員の子どもを預かっていたためと思われる。その後も保育園では病院職員の利用を自粛してくれという要請があった。自粛と言っても仕事を休んで賃金の保障はあるのか?使用者は「難しい判断」といいながら、できるだけ出勤してほしいと言っている。【国共病組】
【その他】

田舎の病院だが、地域唯一の感染症指定病院のため、日々増える検査対応に追われ、休みがない。これ以上増えると追いつかない。【全厚労】
電話診療による処方せん発行を開始。パソコン、プリンター、FAXが必要で、持っていない患者は利用できない。【全日赤】
院内でPCR検査をする方針が出たようだ。体制や感染対策は不明。【全日赤】
自分が感染するのではないか、家族にうつすのではないかと不安の中で勤務している。せめて特殊勤務手当てを支給してほしい。【全日赤】

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