コロナ自宅療養・待機体験記・2022年1月

 2022年1月11日(火)夕方、家族A、微熱と倦怠感を訴え、翌日11日(火)の受診したが、かかりつけ医は風邪ではないかと診断した。しかし、時節柄、念の為に民間のPCR検査を受検した。

12日間の自粛生活のはじまり

 陽性判定を想定し、ここから我が家の自宅待機と隔離生活が始まった。家族はAを含めて三人である。それぞれの居室にて生活が始まった。

隔離生活はAとの接触はもとより、BC(筆者はC)ともに非接触を行うように生活した。Cが主に食事等を担う。幸いなことに、トイレが2箇所あるので、AとBCは別々のトイレを使用することとした。

 13日(木)未明 Web上で検査結果が出され、陽性が判明した。この時点で同居家族であるBCは濃厚接触者となることは、厚労省、自治体のHPにより提示されていることから、BCに関しても自宅待機生活が始まった。

 きょうと医療相談センターに朝のうちに架電、センターの見解では、家族は濃厚接触に当たるため、保健所からの聴き取り後に検査キットが送付される、家族は不要不急の外出を控えてもらいたい。感染者本人の療養期間や濃厚接触者等の扱いについては、保健所がすべて判断するので、待機していてもらいたい、とのことであった。受検した民間検査センターより、保健所へ連絡をする、遅くとも翌日14日中には保健所からの連絡がいくので待機してもらいたい、と連絡があった。

 ABCそれぞれの勤務先に連絡すると、各事業所からは当然、自宅待機の指示・連絡があった。BCに関しては有給休暇等の申請ということになった。(いずれの事業所も休業補償の制度は設けていないため、やむを得ない選択である)

ボタンの掛け違いのはじまり・きょうと医療相談センターの対応

 Aについては、保健所からの連絡を待ち、「入院」か「ホテル療養」との予想を立てた。この時点での京都府の発症者数は、1日につき約500名であった。

 14日(金)昼ごろ、かかりつけ医より連絡があったが、「保健所に問い合わせしたが、100人増員して対応中だが、個別案件については答えられない。いつ保健所が連絡できるか不明」とのことであった。結局(民間PCR検査センターが示した)14日(金)中には保健所からの連絡はなく、かかりつけ医からの情報もあったこともあり、保健所への連絡は行わず自宅待機していた。このことが、後になって多くの問題を引き起こすことになった

 Aも倦怠感を感じることが少なくなっていた。BCは無症状であった。そういう意味では、自宅療養・待機している者として多少の安心感があったが、万が一重症化したときにはどうなるのか、という不安もあった。

 17日(月)になっても保健所からの連絡はなく、きょうと医療相談センターに対し電話を掛けるが、全くつながらない。着信音が鳴っても、電話はつながらずそのまま切れる状態が続いていたことから、「聴覚障害者用のメールアドレス」に、陽性者に対する保健所からの連絡がない旨を連絡した。

 返信はされたが、その内容が以下のようなものであった。

きょうと新型コロナ相談センターです。

相談内容を確認させていただきました。
お返事が遅くなり申し訳ございません。
電話が混み合っておりますが、詳細を確認させていただき、回答をさせていただきたいので、お手数ですが、下記番号までお電話をお願いします
なお、本メール相談は聴覚障害者の方の健康相談窓口になっておりますことを申し添えます
よろしくお願いいたします。

京都新型コロナ医療相談センター
TEL:075-414-5487(24時間対応)

この内容、いわゆる「お役所仕事」と考えるのは、私だけであろうか

 「陽性」と判定された、保健所に報告があったはず、しかし保健所から連絡がない、きょうと医療相談センターに電話がつながらないので、どうしたらいいか、という点に対して、電話を掛け直せ、と言っているのである

 陽性の情報が大阪の保健所で「放置」されていた?管轄が違う「陽性情報」が混乱の中で迷走している可能性

 仕方がないので何度も掛け直し、やっとつながった。事情を話すと折返し保健所から連絡があった。

保健所の説明は

  •  ①受検した民間の検査センターが大阪拠点で、大阪の保健所に報告されていた。
  •  ②混乱している中で、大阪の保健所から京都の保健所への連絡が遅くなっていた。(担当者は「滞っていた」という表現をしている)
  •  ③本来ならばもう少し早く連絡できた、申し訳ない。

とのことであった。

この時点で、大阪の保健所も京都の保健所もかなり混乱していたことはわかる。

 保健所からは、Aの自宅療養は20日(木)まで、と説明された。家族の検査キットを18日(火)か19日(水)に発送予定ということであった。BCについては、検査結果が陰性であれば、22日(土)で自宅待機解除とのことであった。また、Aは、宿泊療養施設入所ができないので、自宅療養。無症状であれば、20日(木)を以て自宅療養終了。念の為、パルスオキシメーターを2、3日中に送付してくれる。 この時点で、Aはほとんど症状がなくなっており、BCは全くの無症状が続いていた。(連絡が17日で20日までの自宅療養なので、いわゆる「自宅療養者用の食料品の支給」は意味がなく、その話は全く出なかった。保健所からの遅くなることは、食料品の支援なども受けられなくなる。)

 19日(水)保健所からの検査キットが、昼に到着。すぐに検査を行い、ポストに投函。書類では、「おおよそ3日後」に京都市(保健所)から連絡があるとのことであった。

 20日(木)Aに対し、保健所から連絡あり。体調の聴き取りがあり、20日23:59で自宅療養解除と通知され、21日から通常生活で良いとのことであった。自宅療養していたAは次の日から通常の生活になる。ただ、自宅待機者の自宅待機期間が22日までであるので、「隔離」生活を継続することにした。

検査結果の通知がないと働けないという事実

 この後、全く保健所からの連絡がなく22日(土)を迎えることになる。

 ここで問題になるのが、「検査結果が陰性であれば、22日(土)で自宅待機解除」という保健所の判断である。「検査結果が陰性であれば」ということであるので、24日(月)以降の勤務をどうするのか、ということが課題となる。BCは福祉事業所で勤務している。両者の勤務先に連絡したところ、「事業所のルールとして検査結果が来ないと出勤してもらえないことになっている」という。

 自宅待機が続くということは、有給休暇を消費しろと言っていることになる。また、有給休暇がない場合は、無給で出勤できないことになる。

おかしなルール「無症状で10日待機してもダメ」と保健所判断?

一旦ここで整理したい。

  • ①BCともに無症状である。
  • ②自宅待機期間は隔離生活を行い、外出していない。

つまり、感染リスクの回避に関しては、これ以上の方法のない状態である。それに対して、PCR検査結果が来るのを待て、と事業所側は言うのである。

 矛盾点は、「陽性者は、自宅療養期間を満たし、症状がなくなっていれば、出勤可能である」「濃厚接触者で検査を受けておらず自宅待機期間を満たせば出勤可能である」というルールがある、ということである。

 本来、自宅療養期間の初期段階で検査を行い、陽性判定が出れば、自宅療養期間を判定する。おそらく無症状者の場合は、濃厚接触者として自宅療養期間を開始した日より10日が自宅療養期間になるのではないか、と考える。

 しかし、今回のケースは、保健所の対応の齟齬から、陽性者に対する聴き取りが陽性判明より5日してから行われている。更に濃厚接触者の検査が自宅待機開始後7日後に行われた。想定していない事態に、保健所の判断が有効な判断をできないでいたことになる。

 自宅待機を10日行った上で無症状な者の働く権利を奪う「ルール」から抜け出せない、組織の不備である。

 また、今回の事業所とのやり取りの中で、「どういう事情にせよ、検査を受けてしまったから、その結果がないと出勤してもらえない」と言われた。コロナ対策は検査結果ありきではないはずである。検査結果に引きずられて、無症状で隔離生活を経た者の働く権利を奪う、そんなことをサラッと言える事業者がなくなってもらいたいものである。

陰性検査結果は後回しなのか

 23日(日)になっても保健所からは連絡がない。そこで市内の管轄の保健所に電話をしたところ、区役所の宿直につながった。「宿直の方にお話してどうなるかわかりませんが」と前置きして事情を話し、「このままでは仕事に行けない」と訴えた。最初は、「保健所は本日は休み。きょうと医療相談センターへ」と言っていた宿直の職員さんが、非常に丁寧に聞いてくださり、緊急連絡先に連絡してみます。保健所から連絡があるだろうから待ってもらいたい、とのことであった。

 10分もしないうちに保健所から連絡があり、前置きなく、「保健所の〇〇です。検査結果の通知です。陰性、マイナスでした。Cさんもマイナスです。」とのことであった。

 いろいろ言いたいこともあったが、一生懸命やっている職員さんの労を思い、「ありがとうございます」と数分で電話を切った。  

 結局、保健所に我が家の「陰性」結果は既にあった。自宅待機満了後も隔離生活を続けていた我が家の事情は保健所は知らない。しかし、自宅待機満了者の労働を制限することを保健所が指示していたのである。このことを忘れたのか、陰性結果の通知を「放置」していたと言われても仕方がないと思う。

噂であるが、陽性者対応に追われていて、陰性結果の通知は後回しになっているようだとのことである。普段の生活の中であれば、こういう事態も理解できるが、なんとも言えない「もやっ」とした気持ちが残った。このような「想定外」の事態があることを知っておいてもらいたいものである。

この記事を書いた人

伏見太郎