読売新聞 泉南石綿第2陣訴訟、勝訴 国の責任認定…大阪地裁賠償命令

2012年3月29日 読売新聞

大阪府南部の泉南地域のアスベスト(石綿)紡織工場の元従業員ら55人が、「国の対策遅れで石綿肺などに罹患りかんした」として国に総額約11億3200万円の国家賠償を求めた泉南石綿第2陣訴訟の判決が28日、大阪地裁であった。小野憲一裁判長は、国が対策を怠った不作為責任を認定し、原告のうち50人に計約1億8000万円を支払うよう命じた。
 
2008年8月までに提訴した第1陣訴訟(34人)は、1審・大阪地裁が10年5月、国の責任を認めて26人に計約4億3500万円を賠償するよう命じたが、昨年8月の2審・大阪高裁判決は原告側の逆転敗訴とし、原告側が上告中。
 
主な争点は〈1〉国がいつの時点で石綿の危険性を認識し〈2〉健康被害を防ぐ対策を取ってきたか――。国側は「時々の認識や技術水準に応じた適切な対応を取っていた」と争っていた。
 
判決で小野裁判長は、国が石綿の危険性を認識した時期について、石綿被害に関する国の委託研究結果がまとまった後の1959年だったと指摘。翌60年に石綿肺などの予防を目的とした旧じん肺法が制定された時点で、石綿粉じんによる健康被害を防ぐ排気装置の設置を義務付けなかったことを違法と判断した。
 
一方、省令で排気装置設置を義務付けた71年には違法状態が解消されたとし、同法制定時から同年の間に工場で働いていた原告らを賠償の対象とした。さらに、石綿の搬入作業のため工場に出入りして石綿肺になった元運送会社員についても「継続的に出入りし作業する取引先従業員も工場従業員と同様に考えるべきだ」と賠償を認め、国の責任が及ぶ範囲を広げた。
 
第1陣の1審判決は国と工場側の責任は同等としたが、小野裁判長は「従業員の健康に最終的な責任を負うのは企業」と述べ、国の責任は3分の1にとどまると判断。原告1人当たりの賠償額を約60万〜825万円と算定した。
 
厚生労働省石綿対策室は「今後の対応は関係機関と協議して検討したい」とのコメントを発表した。

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