リストラから被災地守る
正社員の相談・加入相次ぐ
電機13万人リストラが東日本大震災の被災地でも猛威を振るっています。ソニーは、仙台テクノロジーセンター(宮城県多賀城市)で2011年の期間社員雇い止め問題に続き、今度は正社員へのリストラを強行しています。ソニー労働組合仙台支部(電機連合加盟)には、労働者から相談・加入が相次ぎ、被災地の雇用を守ろうとたたかいに立ち上がっています。(田代正則)
——————————————————————————–
ソニーは、グループ1万人、国内3000〜4000人の人員削減を今年3月までに行うリストラ計画をすすめています。勤続10年・40歳以上を対象に、「早期退職支援」を名目に退職強要の個人面談を昨年、▽2月〜5月▽7月〜9月と実施しました。
さらに昨年10月19日、美濃加茂工場(岐阜県)閉鎖と、さらなる「早期退職支援」(12月〜今年2月)で国内2000人削減を発表。今回は、仙台工場で勤続10年・40歳以上の労働者が全員リストラ対象となっています。
ソニー仙台工場は、繰り返されるリストラと震災を口実とした事業縮小などで、スマートフォンなどに利用するタッチパネルやリチウムイオン電池部門などを閉鎖、液晶ディスプレーに利用する光学フィルム部門を売却。2010年に約2000人勤務していた従業員が、800人にまで減少しています。
中長期を見通した技術開発が停止し、収益や成長が見込まれる部門が切り離され、このまま被災地を見捨てて撤退するのではないかと地元でうわさになっています。
職場では「キャリア面談」と称した上司との個人面談が行われています。「退職強要はしない」と一言そえるものの、実態は狙い撃ちした退職強要です。
ソニー労組への相談事例は、ほとんど共通しています。
まず、「あなたにやっていただく仕事がなくなる。グループ内で異動先を探してもらう」と言われます。次回からは「グループ内には異動先が見つからない。早期退職支援を行っている。この際、新しいキャリアを考えてみてはどうか」と退職を強要。「やめたくない」と言っても、「面談している意味を理解しているか」などと迫って早期退職の説明を繰り返し、追い詰めていきます。現在、組合に相談・加入してきっぱり退職拒否の意思表示をした労働者の面談は中断しています。
1月11日朝、ソニー労組仙台支部と宮城県春闘共闘は、工場前で「リストラ・退職強要をはね返す10カ条」(別項)を掲載した職場新聞を配布しました。昨年まで震災口実の雇い止め撤回をたたかった元期間社員の若者たちも、支援に駆けつけました。
同日、宮城県春闘共闘とソニー労組仙台支部は、ソニー仙台工場に▽リストラを撤回する▽執(しつ)拗(よう)な退職強要をやめる▽キャリア室の労働者を解放し仕事をさせる▽生産活動で被災地復興をけん引する―ことを申し入れました。