日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が、従軍慰安婦制度を「必要だった」と述べたり、在日米軍に風俗業活用を促す発言をしたりしたことが波紋を広げている。7月に予定される参院選や6月23日投開票の東京都議選が迫る中、維新の立候補予定者からは橋下氏を擁護する声も出たが、識者や戦争経験者からは厳しい意見が聞かれた。
同党総務会長で、参院大阪選挙区(改選数4)から出馬予定の大阪府議、東徹氏(46)は「全体的に話を聞けば理解できる部分もある」と述べたが、「『慰安婦制度は必要だった』との発言だけを切り取って報道されると反発する女性もいるだろう」と懸念も漏らした。東氏は大型連休中に、橋下徹氏の沖縄訪問に同行。在日米軍に風俗活用を促す橋下氏の発言について「米軍による暴行事件をどう解決するかは避けては通れない。防ぐ方法として考えたのではないか」と擁護した。
広島選挙区(改選数2)に出馬予定の新人、灰岡香奈氏(29)は「日韓基本条約で解決済みの問題であり、政府がはっきりしない態度を改めるべきだ。女性としても(発言に)悲痛な思いは感じない」と政府の責任に言及。「共同代表ではなく、個人としての言葉だと思う」とする一方、選挙戦への影響は「少し懸念がある」と語った。
兵庫選挙区(同)から出馬予定の新人、清水貴之氏(38)は、駅前で続けているつじ立ちで有権者から苦情や見解を求められることはないと言い「影響を感じていない。共同代表の発言なのでノーコメント」と話した。京都選挙区(同)から出馬予定の山内成介氏陣営の広報担当、畑本久仁枝氏(58)は「政府が避けてきたことをあえて言ったという意味で意義がある。党に傷がつくかもしれないが、橋下さんでなければ言えない勇気ある発言だ」と評価した。
政治団体「奈良維新の会」代表で奈良選挙区(改選数1)から出馬予定の県議、山本進章氏(58)は「発言の真意が分からない。女性蔑視の意図があったとすれば間違っていると思うが、そうではないだろう。ただ、誤解を招く発言だった」と話した。