ネスレ日本と労組 30年の労使紛争終結

神戸新聞 2013/10/7

 約30年にわたり労使紛争が続いていたネスレ日本(神戸市)と、同社の少数派組合「ネッスル日本労働組合」が6日までに、紛争終結で合意した。労組によると、組合員の遠隔地異動や解雇などで訴訟や労働局への申し立てに至った紛争は、計100件以上に上った。

 関係者によると、1982年から83年にかけ、会社介入でネッスル日本労働組合が分裂。多数が新組合に流れ、同労組は少数派に転じた。それでも当時、組合員は300〜400人いたが、長引く紛争で6人に減った。

 裁判では会社の敗訴が相次ぎ、2005年には労組側が、経済協力開発機構(OECD)の多国籍企業行動指針に違反すると主張し、OECD日本国連絡窓口に申し立てていた。

 合意は今月1日付。「ネスレ日本は過去の裁判所、労働委員会の判決、決定内容を真摯に受け止め、順守することを表明する」とし、「人権侵害、いじめなどの疑いが持たれる可能性のある行為がないように努める」などとした合意書が、同社と同労組、同労組の上部団体である兵庫県労働組合総連合(兵庫労連)の間で交わされた。また、過去の紛争について、双方が金銭の請求をしないことなどを約束した。

 同社は「OECDなどのグローバルガイドラインを全面的に支持する。各国の法律を順守し、事業活動全般で人権を守り、労働慣行の模範となるよう努めたい」とコメント。同労組の播戸夏樹委員長(60)は「わずか6人の組合と会社が和解したことは評価できる。組合のあり方を若い人に示すことができた」と話していた。(中部 剛)

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