日本経済新聞 2013/11/16
「採用増のうちに」
来春卒業予定の大学生に占める就職希望者の割合が77.9%に達したことが15日、分かった。前年同期より1.9ポイント高く、比較可能な1996年以降で最も高い。就職希望者は44万1千人で、文部科学省は「(安倍政権の経済政策である)アベノミクス効果で企業が採用を増やしており、今のうちに就職しようという意欲が高い」とみている。
文部科学・厚生労働両省が全国の62大学の計4770人を抽出し、10月1日時点で調べた。就職内定率は64.3%と前年同期比1.2ポイント高く、3年連続で上昇した。
就職希望率は、卒業予定者のうち、大学院進学や留学などをせず、就職を目指す人の割合。これまで最も高かったのは2008年の77.3%。同年のリーマン・ショック後は落ちこんでいた。
今年の就職希望の高さを、森岡孝二・関西大教授(企業社会論)は「今の大学4年生はリーマン・ショック直後に入学しており、就職に特に敏感な世代」と指摘。「大学でのキャリア教育や就職支援の充実もあり、とにかく就職したいという意識が強い」とみる。
男女別の就職希望率は、大学院進学意向が高い男子の方が低く、今年は男子が72.9%(前年同期比2.5ポイント増)、女子は84.9%(同1.2ポイント増)。男女別の過去最高は男子は1997年(75.1%)、女子は08年(85.0%)で、今回は更新されなかった。
一方、内定率の内訳は男子は64.5%で同1.5ポイント増、女子は64.0%で同0.8ポイント増。理系70.3%(同3.5ポイント増)、文系63.0%(同0.6ポイント増)といずれも好調。厚労省は「震災復興需要などで建設業の求人が伸びている」とする。
リクルートキャリア「就職みらい研究所」の岡崎仁美所長は「これから追加採用を打ち出す企業も多いとみられ、最終的な就職率は昨年を上回るだろう」と分析する。