三菱マテリアル四日市工場で爆発 5人死亡、12人けが

朝日新聞 2014年1月10日

号外:三菱マテリアル四日市工場で爆発

 9日午後2時すぎ、三重県四日市市三田町の三菱マテリアル四日市工場で爆発が起きた。県警などによると、同社従業員3人と協力会社の従業員2人の男性5人が死亡。12人がやけどや打撲などの重軽傷を負って病院に搬送された。

 工場によると、爆発があったのは半導体や太陽光パネルの材料となる多結晶シリコンを製造しているプラント。事故当時、メンテナンスのため熱交換器の解体作業中で、死傷者はこの熱交換器の周辺にいて巻き込まれた。

 熱交換器には重さ約200キロのふたがついており、爆発の衝撃で約10メートル吹き飛んでいたという。死亡した5人のうち、数人はふたが外れた延長線上、1人は熱交換器の横に倒れていたという。

 県警は10日午前から、業務上過失致死傷の疑いで現場検証をして原因を調べるとともに、遺体を司法解剖する。また、総務省消防庁と経済産業省は9日、事故原因を調べる職員を現地に派遣することを決めた。

 三菱マテリアルによると、工場内にはプラントが2カ所あり、事故が起きたのは第1プラント。爆発した熱交換器は直径90センチ、長さ約6メートル、重さ約4800キロのステンレス製の筒で、高温のガスを冷却するために設けられている。

 熱交換器は内部に可燃性の不純物「クロロシラン類」が付着するため、昨年11月27日にプラントから取り外し、屋外に移動させてメンテナンスの作業を実施していた。

 事故原因について、同社はクロロシラン類のほか塩素やケイ素、水素の化合物などが内部に残っていて、空気と触れて水素が発生し、爆発した可能性があると説明。会見した猿渡暢也(さるわたりのぶや)工場長は「エネルギー源は水素ではないかと思っている」と述べ、水素爆発の可能性を示唆した。

 県警は、炎が一瞬上がったという目撃情報などから急激に化学反応が起きて爆発したとみて、当時の作業の流れや熱交換器の内部の状況などを調べている。

 爆発事故があった三菱マテリアル四日市工場は、パソコンの記憶装置などに使われる半導体の原料になるシリコンを製造している。同社は通常の製造を続けている上、1カ月以上の在庫があるという。同社は「客にも年単位の在庫がある。製造や販売に直ちに影響が出ることはないだろう」としている。

 現場は、JR四日市駅から南東へ約4キロで、四日市港沿いにある四日市コンビナートの一角。

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