毎日新聞 2014年12月14日 23時21分(最終更新 12月14日 23時44分)
政府が進める米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設に、沖縄県民は11月の県知事選に続いて「ノー」の審判を下した。辺野古移設を容認した沖縄の自民前職4人全員が小選挙区で辺野古移設反対を訴えた非自民候補に敗れた。
辺野古移設に反対する翁長雄志(おなが・たけし)知事を誕生させた共産、社民や自民党を除名された那覇市議らの保革共闘グループが擁立した4区の無所属新人、仲里利信さん(77)は、西銘(にしめ)恒三郎さん(60)を破っての初当選。南風原(はえばる)町の事務所でカチャーシー(沖縄の手踊り)で勝利を祝った。
仲里さんは「辺野古も含め新しい基地は造らせない。翁長知事と一緒に頑張る。一日も早く基地をなくし、経済発展につなげたい」と笑顔で語った。
元自民党県連顧問の仲里さんは、2年前の前回衆院選では後援会長として西銘さんを支えた。だが、昨年に西銘さんが県外移設から辺野古移設容認に転換したのを批判して後援会長を辞任。その後自民を除名され、知事選で翁長氏を支えたグループから要請を受けて西銘さんに挑んだ。
一騎打ちとなった選挙戦で「私は公約をちゃんと守る。美しい辺野古の海を埋め立ててはいけない」と主張。翁長知事も何度も4区入りして支援した。
一方、党本部から迫られる形で県外から辺野古移設容認にかじを切り、知事選で移設推進の現職を推薦して大敗した自民県連は逆風下での戦いだった。西銘さんは「衆院選は政権選択の選挙」と訴えたが及ばなかった。
1区は共産前職の赤嶺政賢(せいけん)さん(66)が当選し、共産として全国の小選挙区で18年ぶりとなる議席を獲得。赤嶺さんは那覇市内の事務所で「辺野古移設に対する県民の怒りが我々の考えている以上だった。移設の白紙撤回を安倍政権に突きつけたい」と話した。
2区は社民前職の照屋寛徳(てるや・かんとく)さん(69)、名護市を抱える3区は生活前職の玉城デニーさん(55)と、いずれも辺野古移設反対派が当選した。
1区で「辺野古移設に反対する候補に投票した」と語った会社員、名嘉清治(なか・きよはる)さん(65)は「政府は『他県も米軍基地の負担を分かち合うべきだ』という沖縄の民意に沿ってほしい」と話した。【鈴木一生、山本太一、比嘉洋】