正社員、増加に転じる 景気回復、2月は最大幅  非正規なお4割、課題に

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共同通信 2015年4月26日
  
   景気の緩やかな回復を受け、正社員が増加に転じている。総務省の労働力調査によると、正社員の数は2014年12月以降、3カ月連続で前年同月を上回り、中でも今年2月は58万人増の3277万人で、比較可能な14年1月以降で最大の増加幅だった。一方、2月の非正規労働者は15万人減の1974万人で、初めて減少した。

 企業は正社員を抑制し、人件費が安い非正規労働者を増やしてきた。しかし2月の有効求人倍率が約23年ぶりの高水準になるなど雇用情勢が改善。パートや契約社員など非正規での人材確保が難しくなっており、正社員の採用を増やしたり、転換を進めたりしている。

 ただ雇用者に占める非正規労働者の割合は37・6%となお高水準で、政府や労使にとっては、正社員化の動きを加速させるとともに、非正規で働く人の処遇改善をどう進めるかも課題となる。

 労働力調査によると、14年1月の正社員は前年同月より94万人減。その後、減少幅は徐々に縮小し、14年5月以降は増えたり減ったりしたが、14年12月は18万人増、今年1月は31万人増だった。非正規労働者は14年1月が133万人増。その後増加幅が縮小し、今年2月は減少した。

 2月の正社員数を年齢別にみると、45〜54歳が29万人増え、35〜44歳も11万人増加するなど中高年を中心に増えた。一方、非正規労働者は15〜24歳が18万人減り、25〜34歳も11万人減少。ただ65歳以上は36万人増え、高年齢層では定年後の再雇用などで増加が続く。

 日本郵政は14年度にグループで契約社員約4700人を、原則的に転居を伴う異動がない地域限定正社員にした。15年度もすでに約3千人を正社員に転換し、16年度は約2600人を計画している。

 衣料品チェーン「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは約1万6千人を地域正社員にする計画で、アルバイトの登用や社外からの募集などで4月までに約4500人を採用した。

 ▼「働く意欲高まった」 消費拡大に期待も

 【サイド】パートなどの非正規労働者から、雇用が安定し、給料も高い正社員になるケースが増えている。「働く意欲が高まった」などと正社員として働く喜びを若手社員は語る。正社員の増加が続けば、生活水準の改善を通じて消費拡大につながることも期待できそうだ。

 生活協同組合コープみらい(本部・さいたま市)で東京都大田区の宅配業務を担当する 杉浦弘敏 (すぎうら・ひろとし) さん(26)は、今年3月に約5年間働いたパート職員から、一般企業の正社員に当たる正規職員に登用された。「今後家庭を持った時のことなどを考え、雇用が不安定な非正規のままではいけないと思った」と職場の正規職員登用制度に応募した理由を話す。

 パートにはない年2回の賞与が支給されるようになった。杉浦さんは「新商品の紹介など、業績に貢献したい気持ちが強くなった」と意気込みを語る。

 杉浦さんの同僚の 生出英治 (おいで・えいじ) さん(26)も、パート職員から正規職員になった。「登用試験に合格したとき、自分以上に喜んでくれた妻を見て、さらに頑張ろうと思った」と話す。

 流通業界は人手不足感が強く、より良い処遇を求めて転職していくパートも少なくない。コープみらいは2014年度に34人を、地域限定を含む正規職員に登用しており、人事担当者は「確実に職場に定着、活躍してくれる貴重な存在だ」と登用の狙いを語った。

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