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朝日デジタル 2015年6月7日
講師らが授業時間の前後に働かされているのに賃金が支払われていない事例があり、厚労省が調べていた。残業の割増賃金を支払わなかったり、時給が最低賃金を下回ったりする例もあったという。
厚労省は具体的な件数を公表していないが、労働基準法や最低賃金法の違反事例も目立つとして、塾業界で不適切な労務管理が広まっている可能性があると判断。労働基準局長からの改善の要請文を、全国学習塾協会や私塾協同組合連合会など関係7団体に3月末に送った。
要請文では、労働基準監督署が実際に指導した違法なケースを例示している。授業後に生徒からの質問対応をさせる際に、時間給ではなく一律「100円」だけ払っていた事例もあったという。
全国学習塾協会は、約470の塾運営会社などに内容を伝えて法令順守を徹底させるようにした。担当者は「一部の塾による賃金未払いは、業界が以前から抱える問題だ。厚労省の要請をきっかけに、見直しを進めていきたい」という。
ただ、業界団体のなかには「会員への指導に強制力はなく対応は任意」というところもある。団体に加盟していない小規模の塾も多いため、改善要請が十分に伝わらない恐れもある。
この問題ではブラックバイトユニオンを母体として、「個別指導塾ユニオン」が4日に発足。賃金の支払いなどを求め、10社前後の企業に団体交渉を申し入れていく方針だ。(高橋末菜、疋田多揚)
◇ ブラックバイトについては、今後も紙面で事例から考えるケーススタディーなどを掲載していく予定です。ご意見や情報、体験談をお寄せ下さい。朝日新聞経済部労働チームのメールへ。(t-rodo@asahi.com)