ゼリア新薬工業(東京都)の男性新入社員(当時22歳)が2013年、入社研修中に男性講師の言動で精神疾患(統合失調症)を発症し過労自殺したとして、東京労働局中央労働基準監督署が労災を認定していたことが分かった。千葉県内に住む男性の両親は8日、同社と講師などを相手取り、約1億510万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。
労災認定は15年5月。労基署の決定などによると、男性は13年4月の入社直後から8月までの予定で研修を受講。4月10〜12日に研修会社実施の「意識行動変革研修」を受けた際、講師から「吃音(きつおん)」と決めつけられ、いじめられた経験を同期入社42人の前で言わされた。5月18日に一時帰宅する途中に都内で自殺した。労基署は労災認定基準の「ひどいいやがらせ、いじめに該当する」と判断した。
両親によると、男性が吃音と診断されたことはないという。
ゼリア新薬工業広報部は「まだ訴状を受領していないのでコメントは控えたい」としている。【早川健人】