東京新聞  「日雇い」など労働者派遣規制強化 法改正へ議論白熱

2008/08/19 東京新聞 スコープ

 日雇い労働者の派遣禁止など労働者派遣の規制強化に向けた政府内の議論が難航している。福田内閣は今秋の臨時国会で労働者派遣法改正案の成立を目指しているが、企業側が規制強化に消極的なためだ。一方、民主党など野党は、より厳しい規制を盛り込んだ改正案の共同提出を検討しており、規制強化をめぐる議論が熱を帯び始めている。 (後藤孝好)
 派遣労働の規制強化は、福田首相が主導する「五つの安心プラン」の柱の一つ。派遣労働の規制緩和が非正規雇用の増大を招き、社会的不安や格差を助長しているとの批判に対応するためだ。
 政府の改正案づくりのたたき台となっている厚生労働省研究会の報告書は、日雇い派遣の禁止を提言。三十日以下の短期派遣契約についても禁止を検討するよう求めている。
 一方、仕事がある時だけ契約して働く登録型派遣は、労働者側に需要があるとして禁止は不適当としている。
 また、企業内に派遣会社をつくる「グループ企業派遣」は、グループ内への派遣割合を八割以下とするよう規制の必要性を指摘。派遣会社が得る手数料(マージン)の開示を義務付けることも盛り込んだ。
 しかし、改正案の内容を検討する厚労省の審議会では、企業側代表が「日雇いを禁止すれば、独自の求人が困難な中小企業は人材不足となり、経済的影響が大きい」などと、規制強化に慎重な姿勢を崩しておらず、改正案の最終決定までには曲折が予想される。
 これに対し、野党は、派遣労働者らが住所不定のネットカフェ難民となり社会問題化しているとして、厳しい規制を打ち出し、弱者への配慮をアピールしようとしている。
 民主党は、日雇い派遣禁止に加え、短期派遣契約の禁止も二カ月以下に拡大する方針。共産、社民、国民新三党は日雇い派遣禁止とともに、通訳など一部の職種を除いて登録型派遣も原則禁止とするよう求めている。
 民主党は改正案の野党共同提出に向け、共産など三党に協議機関の設置を呼び掛けている。

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