厚生労働省では、依然としてみられる長時間労働や、これに伴う問題の解消を図るため、１１月を「労働時間適正化キャンペーン」期間として、集中的に啓発活動を実施しており、その一環として、１１月２２日（土）に各都道府県労働局において、全国一斉で無料の「労働時間相談ダイヤル」を実施した。
「労働時間相談ダイヤル」に寄せられた相談の概要
○相談件数８７９件※平成１９年度の相談件数８１８件
・労働者本人からの相談５０２件（５７．１％）
・労働者の家族からの相談３０４件（３４．６％）
○主な相談内容
・長時間労働に関するもの３２０件（３６．４％）
このうち、１か月の総残業時間について、
１００時間を超えるというもの１３７件
８０時間以上１００時間未満というもの５９件
・賃金不払残業に関するもの４００件（４５．５％）
このうち、
残業手当が一切支払われないというもの１７６件
残業手当が一律カットされるというもの５８件
残業手当が定額払いというもの５３件
労働時間管理が不適切というもの７１件
・労働基準法上の管理監督者の取扱いに関するもの２２件（２．５％
「労働時間相談ダイヤル」に寄せられた相談事例
（長時間労働について）
・ 金融・広告業で勤務する労働者からの相談。毎日２２時、２３時まで働いており、１か月の残業時間は１００時間を超えている。過労で倒れて点滴を受けたこともある。健康診断も忙しくて受診できなかった。
（賃金不払残業について）
・ 事務職として勤務。残業時間は自己申告制でタイムカードはない。実際には月６０時間くらい残業をしているが、上司から過少申告を指示されており、４、５時間程度しか申告できない。
（長時間労働、賃金不払残業について）
・ 労働者の家族からの相談。息子が飲食店で働いている。所定労働時間は１０時から２３時までとなっているが、実際には９時までに出勤しないと遅刻とされ、また、休憩時間も昼に１５分程度の食事をする時間のみである。休日も月４日程度しかなく、残業手当、休日手当は支払われていない。息子は精神不安定になっているようで、心配である。
・ 労働者の家族からの相談。息子が工場で機械操作の仕事をしているが、労働時間が毎日３時から１９時までで、休憩もほとんどなく、今月は休日も１日しか取れていない。残業手当と深夜手当はまったく支払われていない。以前過労で倒れたことや、疲れて機械に巻き込まれて入院したこともあるので、息子の身体がとにかく心配である。
（管理監督者について）
・ サービス業の会社で支店長として勤務。支店長といっても、人事労務管理に関するものを含め権限らしいものはほとんどなかった。人員が不足していたため、毎月１００時間以上の残業を余儀なくさせられていたが、会社では管理監督者として扱われ、残業手当は一切支払われなかった。