厚生労働省 「非正規雇用のビジョンに関する懇談会」資料
「望ましい働き方ビジョン」(仮称)
〜非正規雇用問題に総合的に対応し、労働者が希望する働き方を実現する〜
【骨子案】
序文
〇日本は既に人口減尐社会。今後、就業者数は大幅に減尐の見込み。失業率は高止まりし、非正規雇用の労働者は全体の3割を超える状況。
国力の源は労働。持続的な経済成長、社会保障制度の維持を図り、調和と活力のある社会を形成するためには、雇用の下支えが不可欠。経済の活性化を通じて良質な雇用を創出するとともに、「持続可能な全員参加型社会」を構築し、若者・女性・高齢者・障害者の就業率を高め、積極的な社会参加を進めていくことが不可欠。
このためには、「人材立国」に向けて一人ひとりの能力を高めていく必要。「積極的労働市場政策」の観点から、介護・福祉、医療、子育て、情報通信、環境・エネルギー分野など、今後の成長が見込まれる分野を中心に人材育成を進め、新しいシステム・付加価値を生み出せる能力を高めていくことによって、日本経済社会全体の発展にもつなげていくことが重要。
また、人々の価値観が多様化する中、人々が働くことの価値を高め、「働くことが報われる」ようにし、人を大切にする文化のもとで「働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)」を実現していく必要。
今後の雇用労働政策の在り方としては、「雇用の安定の確保」、「公正な働き方の確保」、「労働者による多様な働き方の自律的選択」の三つの基本的考え方に立ち、産業政策や教育政策との連携、税制・社会保障制度等との整合性を相互に保ちつつ、着実な実施に努めることが重要。
〇「日本再生の基本戦略」や「社会保障・税一体改革大綱」では、「分厚い中間層」復活のため、非正規雇用問題への横断的取組みが重要との位置づけ。非正規雇用の労働者の雇用の安定や公正な待遇の確保は、社会保障制度の「支え手」の確保とともに、自立・安定した生活を通じて、社会保障に係る将来の財政負担の軽減にも寄与。
〇これまで非正規雇用を巡っては、正規雇用との対比の中で、多様な働き方を求めて非正規雇用を選べば、雇用の安定と公正な処遇が後退し、雇用の安定と公正な処遇を求めて正規雇用を選べば、働き方が拘束され、グローバル経済の中で企業経営の自由度も制約されるというように、二極の選択肢それぞれについて負の側面のみが強調されてきた面があった。こうした考え方を超えて、雇用労働の「安定」「公正」「多様性」と企業経営の「自由」という価値の共存を実現するための新たな道筋を描くことが必要。
本ビジョンは、有期、短時間、派遣など「非正規雇用」の多様性を踏まえつつ、共通する課題に総合的に対応し、一人ひとりの労働者が希望する働き方を実現することができるよう、雇用の安定や公正な待遇の確保に必要な施策の在り方を示すもの。