東京新聞 内部通報社員 勝訴確定 最高裁 オリンパス配転訴訟

2012年6月30日 朝刊

上司の行為を社内のコンプライアンス(法令順守)窓口に通報したことを理由に不当に異動させられたとして、大手精密機器メーカー「オリンパス」(東京都新宿区)の社員浜田正晴さん(51)が異動の無効などを求めた訴訟で、最高裁第一小法廷(白木勇裁判長)は会社側の上告を退け、浜田さんの逆転勝訴判決が確定した。決定は二十八日付。

内部通報制度に基づいて通報した社員を不当に扱った企業の責任を最高裁が認めたことで、制度を設けている企業では、通報者の保護に取り組む姿勢がより求められることになりそうだ。

確定判決によると、浜田さんは営業担当だった二〇〇七年六月、上司が取引先社員を引き抜こうとしていると社内窓口に通報。担当者が内容を上司に漏らした後、専門外の部署に三度異動させられたり、新入社員用テキストで学習させられたりした。

一審東京地裁は「異動は報復目的とは言えない」と訴えを退けたが、二審東京高裁は、通報に反感を抱いた上司が業務と無関係に異動を命じたと認定。「内部通報による不利益な取り扱いを禁止した社内規定に反し、人事権の乱用」と判断して異動を無効とし、慰謝料など二百二十万円の支払いを命じた。
 
浜田さんは二十九日に会見し「会社のために通報したのに、なぜ厳しい戦いを強いられるのか。皆が安心して働けるよう内部通報制度を改善しなければならない」と述べた。

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