大阪市の校正印刷会社の元従業員らに胆管がんが多発している問題で、胆管がん以外の健康障害を発症し、業務との関連が疑われる元従業員らが少なくとも6人に上ることが18日、産経新聞の調べで分かった。胃がんや直腸腫瘤(しゅりゅう)などの症例があり、女性の発症も初めて明らかになった。厚生労働省は今後、これらのケースについても因果関係の調査を進めるが、被害がさらに拡大する恐れもある。
同社ではこれまで、印刷見本を刷る校正部門に所属していた20〜40代の男性12人が胆管がんを発症。厚労省は業務との関連が疑われる発症者と認定していた。
今回、新たに健康障害が確認されたのは、平成15年に胆管がんで死亡した元従業員の男性=当時(41)=と、胆管がん以外の症例が確認された6人(元従業員4人、在職従業員2人)。同社の発症者は胆管がんが13人、それ以外6人の計19人となり、うち8人が死亡した。
胆管がん以外の発症者のうち、平成16年から昨年3月まで勤務した男性は胃がんを患い、同月に59歳で死亡。平成12年に退職した男性(49)は劇症肝炎、14年に退職した女性(38)は直腸腫瘤を発症した。在職中の2人は、原発性胆管炎や肝機能異常の症状がみられた。
新たに判明した発症者も全員が校正部門で、厚労省が発症者認定した12人と同様に、1年以上の勤務歴があった。
同社の作業場は地下1階にあり、厚労省の再現実験の結果、従業員が化学物質にさらされた程度は、米国で示された許容濃度の最大20倍に達していたことが判明。インクの洗浄剤に含まれ、発がん性の疑いがある「1、2ジクロロプロパン」や「ジクロロメタン」の空気中濃度が影響した可能性が指摘されている。
今回、胆管がん以外に複数の症例が新たに確認されたことで、厚労省は2つの化学物質のほかにも健康障害を引き起こす有害物質が含まれていた可能性があると推測。専門家による疫学調査を進める。