「関西イノベーション国際戦略総合特区」について、大阪府は7日、府外から府内の対象地区に進出した企業に、5年間法人事業税などの地方税を全額免除する条例案を、9月定例府議会で提案することを正式決定した。大阪市も8日の幹部会議で法人市民税などの市税を全額免除する条例案を9月議会に提案することを決める。可決されれば年内にも施行する方針で、大阪市内への府外からの進出企業は地方税が5年間完全にゼロとなる。
府内の特区への進出企業に対する地方税免除は、企業誘致で国際競争力をつけるため、松井一郎知事と橋下徹市長が今年1月の会談で方針を決定していた。対象は、大阪駅周辺の「うめきた」や大阪市の人工島夢洲・舞洲地区、「彩都」などの北大阪地区、阪神港など。府は法人事業税のほか、法人府民税、不動産取得税を設備投資や雇用を条件に、最初の5年間はゼロにし、その後の5年間も半額にする。
同特区は、大阪、兵庫、京都の3府県と3政令市(大阪・神戸・京都)が共同申請し、昨年12月に国から国際戦略総合特区に指定されたエリア。国際競争力の高い産業の育成を目的に、神戸医療産業都市やけいはんな学研都市など9区域で構成し、規制緩和などの対象となる。
松井知事は記者団に「他の市長にも呼びかけ、府内の特区は地方税をゼロにしたい」と大阪市以外にも条例制定を働き掛ける意向を示し、橋下市長は「(免税で)法人の税負担はアジアの中でやっと標準レベルになる。税負担が標準レベルになれば、多くの企業が集まる」と自信を見せた。