解雇や賃金未払いのトラブルに対応するため連合福井が設けている「労働相談ダイヤル」の相談件数が高止まりしている。2008年秋のリーマン・ショック以降増え、過去3年は年間100件超で推移している。近年、正社員からの相談が目立ち、連合福井は「正社員といえども雇用がぐらついている」と警戒を強めている。
「社がすべての仕事を委託業者に任せる業態に移行し、正社員10人全員がリストラされる」(若狭町の40代女性)、「会社に入り20年たつが、パートということで有給休暇がもらえない。正社員にはあるのに…」(福井市の50歳女性)。相談ダイヤルには労働者から切実な声が届いている。
11年(7月〜12年6月)の相談件数は129件。リーマン・ショック以前の07年(7月〜08年6月)は62件だったが、その後は毎年86件、133件、114件と高い水準で推移してきた。
11年の129件を相談内容別でみると、賃金未払いや不払い残業、割増賃金未払いなどの「賃金関係」が28・7%。退職強要や契約打ち切りなどの「雇用関係」が21・7%、週40時間以上労働や有給休暇など「労働時間関係」が13・2%と続く。
雇用形態では正社員が56・6%、パートが17・1%、アルバイトが6・2%などとなっている。正社員の相談割合はここ数年、5割を超えており、連合福井の中道英郎・組織アドバイザーは「リーマン・ショックを機に終身雇用などの日本的な労使慣行が崩れていることが要因」と指摘する。
相対的に非正規労働者の割合は低下しているが「決して状況が好転したわけでなく『言っても仕方ない』というあきらめが浸透してきたためでないか」(中道アドバイザー)ととらえている。
連合福井は「相談の多くは労働組合を結成し社と交渉すれば解決できる。勇気を持ち、声を上げてほしい」としている。労働相談ダイヤル=電話0120(154)052。