大阪市は「勤務時間中にもかかわらず、外勤からの帰庁途中に10分程度、喫茶店に立ち寄った」のは職務専念義務違反だとして、このほど職員4人を懲戒処分にしました。
減給や戒告などの処分を受けたのは市税事務所職員で、市によると固定資産税などの調査の帰りに10分程度、喫茶店に立ち寄っただけ。昨年秋から12月に3回程度立ち寄った職員は、「減給1カ月」という重い処分です。
労働問題に詳しい大前治弁護士は「今回の処分が違法・無効であることは明らかです」と力を込めます。
「外回り中の10分程度の小休憩が職務遂行に支障をきたすとは考えられません。疲労回復のため短時間の休憩をとることは、むしろ仕事の能率向上と円滑な職務遂行にとって有益であり、多くの民間企業では当たり前に認められています。職務専念義務には違反しません」と大前さん。
橋下徹市長は、昨年の就任直後から「公務員と公務員の組合をのさばらせておくと国が破綻してしまう」と公務員を敵視。職員基本条例や政治活動制限条例など、憲法を踏みにじる条例を次々と制定してきました。
気になるのは、この件が市民の通報から始まったという事実です。今年4〜6月、市民から職員の不正に関する通報を受け付ける「公益通報」は、約140件と昨年同時期より増加しています。
橋下氏が公務員への偏見をあおって市職員と市民との対立が広がり、“密告社会”の雰囲気が広がったらと思うとぞっとします。(北野ひろみ)