(写真)一部勝訴の報告をする「君が代」訴訟の原告・弁護団=31日、東京高裁前
卒業・入学式で「君が代」起立斉唱などの職務命令に従わなかったことを理由に東京都教育委員会から処分を受けた都立学校教職員64人が、その取り消しなどを求めた訴訟の控訴審で東京高裁は31日、21人・22件の減給・停職処分を取り消しました。戒告処分についてはすべて適法としました。
井上繁規裁判長は、職務命令に違反して不起立だった教職員に対し減給以上の処分が認められるのは、過去の処分歴などから特別な事情が認められる場合に限られるとした今年1月の最高裁判決を踏襲。訴えのあった減給・停職のすべてについて都教委に裁量権の逸脱があり違法と判断しました。
一方、起立斉唱を強制した各校長の職務命令と、そのもとになった都教委の通達については、合憲としました。
原告側は、不起立を重ねるたびに処分が重くなる都教委のやり方に対し、最高裁判決に続いて歯止めをかけた点を評価しつつ、戒告を含むすべての処分の取り消しと違憲判断を求めて上告する意向を表明しました。
同訴訟は2005年と06年に処分を受けた教職員が提訴した第2次訴訟。04年に処分された人たちによる第1次訴訟で、最高裁は今年1月、減給となった1人について処分取り消しの判決を出していました。