君が代不起立:元教員勝訴、都に賠償命令 東京高裁

毎日新聞 2012年11月07日

 学校行事で日の丸に向かって起立し君が代を斉唱しなかったとして、停職処分を受けた東京都立養護学校の元教員、河原井純子さん(62)=10年3月に定年退職=が300万円の慰謝料を都に求めた差し戻し控訴審で、東京高裁は7日、30万円の賠償を命じた。

 南敏文裁判長は「養護学校は教諭と児童生徒の触れあいが欠かせない。停職で教壇に立てなかったのは精神的苦痛といえる」とした。教職員の「君が代不起立」を理由とした都の懲戒処分を巡り、賠償が認められたのは初という。

 都教委は06年3月、不起立を理由に停職1カ月の懲戒処分にしたが、河原井さんは提訴。最高裁は今年1月、「停職処分は裁量権の範囲を超えて違法」として取り消し、賠償部分の判断を高裁に差し戻していた。

 南裁判長は「養護学校運営の具体的な影響について考慮せず、停職とした」と指摘し、都の過失を認めた。

 比留間英人教育長は「判決内容を確認し、今後の対応を検討する」とコメントした。【鈴木一生】

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