【ワシントン=山崎伸治】米国勢調査局は14日、2011年の米国の貧困層について、新たな算出方式に基づく統計を発表しました。それによると、貧困レベル以下で生活する人は約4970万人で、全人口に対する割合(貧困率)は16・1%となっており、いずれも9月発表の公式統計を上回っています。
新算出方式による統計は“経済実態をより反映したもの”として、昨年初めて公表されました。基準となる所得計算で、低所得者食料支援(フードスタンプ)など政府による救済策を加味し、税金を差し引くなどしています。
それにより11年の4人家族の貧困ラインは公式統計の2万2811ドル(約181万円)に対し、持ち家で住宅ローンが残っている世帯で2万5703ドル(約204万円)、借家の世帯で2万5222ドル(約200万円)などとなっています。
新方式の統計によると、18〜64歳の勤労人口の15・5%が貧困層。65歳以上の高齢者では15・1%、18歳未満の子どもは18%でした。人種別ではヒスパニック(中南米系)が28%、アジア系が16・9%、アフリカ系が25・7%です。
また、社会保障年金がなければ貧困率は高齢者で54・1%に、全体で24・4%に跳ね上がり、フードスタンプがなければ全体の貧困率は17・6%になるとの試算も提示。公的な福祉制度が重要であることを裏付けています。