また、あの男が戻ってきた。テレビを見ていて、「ゲゲッ」と思うのが竹中平蔵氏だ。安倍内閣は7日、内閣官房に「日本経済再生本部」を新設し、看板を掲げた。再生本部には全閣僚が参加し、その傘下に民間人による「産業競争力会議」を設ける。竹中は、この「競争力会議」のメンバーに選ばれた。で、TVに出てくる出てくる。例によって、立て板に水でしゃべりまくり、さながら、安倍内閣の閣僚みたいだ。しかし、この男が過去に何をやったか。決して忘れてはならない。
竹中といえば、小泉内閣で金融・経財相や総務相を歴任。経済政策の司令塔として、格差を拡大させた張本人だ。
金融相時代は日本振興銀行を異例のスピードで認可し、郵政民営化に代表される「民営化」や「規制緩和」を推し進め、外資をボロ儲けさせた“売国奴”でもある。揚げ句が参院議員任期を4年も残して、トンズラした無責任男だ。評論家の佐高信氏も驚いていた。
「そんな人物を経済政策を担う会議のメンバーに加えるということは、安倍内閣は内外に『再び格差を拡大させる』と宣言したようなものですよ。まして、竹中氏には数多くの疑惑が積み残されている。日本振興銀行をつくった木村剛氏は逮捕された。認可した竹中氏はなぜ、無傷なのか。学者時代は日本と米国を行き来することで、課税を逃れている“逃税”も指摘された。さらに規制緩和で儲けた外資の手先ともいわれました。そんなこんなで、しばらくは表舞台から消えていたのに、選挙前に維新の会の候補者選定に関わり、ちゃっかり安倍内閣で復活した。自民党のいい加減さ、ケジメのなさの象徴です」
<安倍はナーンにも人事がわかっちゃいない>
竹中抜擢の背景には菅官房長官の影がちらつく。竹中総務相のときに菅は総務副大臣として仕えた仲だ。「で、当初は経済財政諮問会議のメンバーに入れようという動きもあった」(事情通)という。しかし、麻生財務相が反対して潰し、その結果、産業競争力会議に回ったとされる。
「こうした経緯を見ても分かるように、竹中さんは内閣の火種になりますよ。麻生さんとは犬猿の仲だし、内閣官房参与になった飯島勲・元首相秘書官とも折り合いが悪い。大体、国土強靭化でバラマキをやろうとしている安倍政権と新自由主義者の竹中氏とは路線が違う。この人事は整合性がないのです」(自民党関係者)
それなのに、安倍内閣が竹中を起用するのは菅の薦めだけでなく、安倍のお気に入りだからだ。「一種のお友達。安倍さんはまだ人事が分かっていない」(同)とこき下ろされているし、今後、竹中がでしゃばれば、必ず、軋轢(あつれき)を生む。月内にも経済戦略の議論を始めるというが、発足前から空中分解しそうな雲行きだ。