安倍晋三首相は31日午後の衆院本会議で、従軍慰安婦問題への旧日本軍の関与を認めて謝罪した1993年の河野洋平官房長官談話の扱いについて「当時の河野官房長官により表明されたもので、首相である私からこれ以上申し上げることは差し控え、(菅義偉)官房長官による対応が適当だ」と述べ、自らは関与しない意向を示した。共産党の志位和夫委員長への答弁。
河野談話について首相は、昨年9月の自民党総裁選で「強制連行を事実上証明する資料はなかった。新たな談話を出すべきだ」と主張。しかし、河野談話の見直しに動けば中国、韓国が反発するのは必至で、首相再任後は発言を控えている。
志位氏が安倍政権での河野談話の扱いをただしたのに対し、首相は「慰安婦問題は非常に心が痛む。これは政治問題、外交問題化させるべきではない」と語った。
一方、環太平洋連携協定(TPP)交渉への対応を判断する時期について、首相は「現時点では決めていない」とし、「わが(自民)党の公約に明記した通り、聖域なき関税撤廃を前提にする限り参加しない」との立場を繰り返した。みんなの党の渡辺喜美代表への答弁。渡辺氏は2月21日か22日で調整している日米首脳会談での交渉参加表明を促したが、首相は「首脳会談の議題は今後調整する」と述べるにとどめた。
国際結婚が破綻した夫婦間の親権争いの解決ルールを定めたハーグ条約に関しては「重要なので、早期締結を目指す」と表明した。