神奈川県在住のトラック運転手の男性(37)が、勤務先の田口運送(東京都北区)に不払いの残業代約700万円の支払いを求め東京地裁に提訴し、23日に記者会見した。男性は、輸送業の現場で長時間労働が常態化する中、「多くのドライバーが同じ状況で働いている」と訴えている。提訴は22日付。
訴状や男性が加入する労働組合「プレカリアートユニオン」によると、男性は2008年に正社員で入社。大型トラックで乳製品や冷凍食品を運んでいる。勤務は1日11時間を超えているが、残業時間の明確な算出がされていないという。会社に提出する業務日報で10年10月から30カ月分の残業を計算すると月平均約90時間で、これを基に不払い分を算出した。
会社側は団体交渉で、乗務車種による職能給や走行距離などによる成績給なども含めたものが残業手当に当たると説明したという。男性の代理人弁護士は「手当は職務に付くものであり、残業代と一緒にするのは違法」と主張している。田口運送は「責任者が不在でコメントできない」としている。【東海林智】