全トヨタ労連、5年ぶりにベア要求へ 中央組織・連合も

朝日新聞 2013年12月5日

トヨタ自動車グループの労働組合でつくる全トヨタ労働組合連合会(312組合、約33万人)は、2014年の春闘で、賃金全体を底上げするベースアップ(ベア)を5年ぶりに統一要求する方針を固めた。春闘の先導役といえる全トヨタ労連の動きは、賃上げをめぐる春闘全体の攻防にも影響を与えそうだ。

 全トヨタ労連は、2008年のリーマン・ショックや超円高でトヨタの業績が悪化したため、10年からベア要求を見送ってきた。だが、コスト削減に加え、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の追い風を受けて、トヨタの14年3月期の営業利益予想は2兆2千億円と過去最高をうかがう。このためベアを要求できると判断した。来年1月の中央委員会で正式に決める。

 最終的にベアを要求するかどうかは、加盟するそれぞれの労組が決める。グループ内では大手と中小で業績の回復具合に差もあるため、全トヨタ労連は要求水準を数字で各労組に示すかどうか議論を進めている。

 賃上げをめぐって経営側は「業績が改善すれば報酬で還元するのは当然」(豊田章男社長)と一定の理解を示すが、ボーナス(一時金)で対応すべきだという意見も根強い。労組にも「賃金はそのときの情勢で安易に上げ下げできるものではない」との意見もある。

 労働組合の中央組織・連合も3日、来春闘でベアを1%以上要求することを正式に決めている。

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