毎日新聞 2013年12月11日
パワハラを原因とした労災認定は年々増えている。2009年に国が認定基準を緩和したためだ。厚生労働省はパワハラについて「同じ職場の人に精神的・肉体的苦痛を与え、職場環境を悪化させる行為」と定義し、具体的には暴行、脅迫、暴言、隔離、無視などの行為を挙げている。
09年以降、パワハラを含めた仕事のストレスが原因のうつ病などを、労災として認定するケースが増えた。12年度は475件と10年前(03年度、108件)の4.4倍に急増している。
訴訟も増え、賠償を命じる判決も相次いでいる。うつ病になって退社を余儀なくされた保険会社の元女性外交員のケースでは、鳥取地裁米子支部が09年、パワハラとうつ病との因果関係を認め、会社側に約330万円の支払いを命じた。
労働問題に詳しい江上千恵子弁護士(東京弁護士会)は「労災認定されれば、裁判所も会社の責任を重くみるのは当然だ。パワハラ訴訟は以前は少なかったが、最近は弁護士も被害者に提訴を勧めるようになっている」と話す。【小林慎】