毎日新聞 2014年03月19日 21時11分
カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは19日、国内の約850店舗で働くアルバイトやパート従業員約3万人のうち、半数強の約1万6000人を地域限定の正社員にする方針を明らかにした。景気回復基調の中、小売業界を中心に人手不足感が生じており、雇用環境を改善し有能な人材を確保しようとの狙いだ。同様の動きが他の企業にも広がる可能性がある。
正社員化は学生などの短期アルバイトを除いた主婦らが対象。勤務地を限定した地域社員として、平日のみの勤務や時短勤務など多様な雇用形態を認める。今月から対象者の希望を聞く面談を始めており、今後2〜3年かけて正社員化への移行を進める。
同社にはこれまでもパートなどを正社員に登用する制度はあったが、フルタイム勤務が条件で登用者は限られていた。現在の約3400人の正社員は2万人規模に増えるが、採用や研修にかける費用を抑え「トータルの人件費が大幅に増えることはない」(同社)という。
他業界でも正社員化を進める動きが出ている。スターバックスコーヒージャパンは4月、約800人の契約社員を正社員に切り替え、店長候補を育てる取り組みに着手した。またANAホールディングス傘下の全日本空輸は4月入社の客室乗務員約460人を20年ぶりに正社員として採用。これまではすべて契約社員として採用し、3年たたないと正社員に移行できなかった。いずれも優秀な人材の確保・育成を図ろうとの意向が背景にあり、正社員化加速への期待は高まっている。【神崎修一、松倉佑輔】