自治体職員の15%がうつ病  福島、原発避難区域

2014年05月16日 共同通信配信

 東京電力福島第1原発事故で避難区域となった福島県内のある自治体で、職員約100人の15%がうつ病と診断されたとの調査結果を福島県立医大などのグループが16日までにまとめた。同大の前田正治教授(災害精神医学)は「驚くべき高い割合で極めて深刻な事態だ。自治体職員は住民からの激しい怒りにさらされるなど、負荷が高いのにケアが受けにくい。支援を強化する仕組みづくりが必要だ」としている。

 福島市で17日に開催される日本トラウマティック・ストレス学会で発表する。

 調査は1月下旬、県立医大と「ふくしま心のケアセンター」が共同で実施。原発事故で避難区域に指定された福島県沿岸部のある自治体を対象に、精神科医と臨床心理士がペアでほぼ全ての職員の92人を面接し、精神疾患やストレスの状態を調べた。

 その結果15%に当たる14人が「大うつ病性障害」と診断された。また92人のうち8人が自殺の危険があるとされた。症状の重い人には医療機関を受診するよう勧めた。

 グループは、原発事故以降、住民からの非難に加え、長期間にわたり仕事量が増えたことや、職員自身が被災者で家族がばらばらになっていること、復興のめどが立たないことなどが複合的な要因となり精神疾患を発症したと分析している。

 自治体職員は過労でも休まない傾向があることや、住民を支える立場上、相談する環境が整っていないことも背景にあるとみられる。

 グループは今後、避難区域となったほかの自治体でも調査する予定。

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