保育士の処遇改善策、検証へ 加算金の支給に不平等感

 政府は昨年度導入した7年以上の経験を持つ保育士に月4万円加算する処遇改善策について、夏をめどに効果を検証する方針を固めた。保育現場などから効果を疑問視する声が上がっているためだ。結果次第で制度見直しも検討する。
 加算支給は、希望した私立の認可保育園が対象となる。制度を利用した園は全国の約9割にあたる市区町村にあるが、実際に何カ所の園で活用されたかまでは政府は把握していない。まずは利用率を調べた上で、制度がニーズに合致しているか調査する方針だ。
 厚生労働省の調査によると、2017年の保育士の平均賃金は月22万9900円で、全産業平均より10万3900円低い。政府は待機児童問題が解消しないのは処遇に問題があり、深刻な保育士不足を招いていると判断。園長や主任になる前にも、目に見える形で昇給制度を作り、離職を防ごうと考えた。
 ただ、7年以上の経験を持つ全員に支給されるわけではなく、職員全体の3分の1程度の人数分に限られる。さらに支給対象者の半数は満額4万円を受け取ることが条件となっており、園に支給された総額を全員で均等に分けることもできない。
 同じキャリアを持つ保育士でももらえる額に違いが生じることから、「平等感が損なわれる」といった反発が現場で噴出。職場のチームワークを考慮した結果、加算申請を見送る園もある。(西村圭史)

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