読売新聞 5月27日(火)23時17分配信
過労死防止策を初めて国の責務と定めた「過労死等防止対策推進法案」が27日、衆院本会議で全会一致で可決された。超党派の議員立法で提案され、今国会中に成立する見通し。傍聴席で見守った遺族らは「働き過ぎで命を落とすことのない社会に変える、大きな一歩」と期待を込めた。
法案が可決されると、傍聴席で遺影を抱いていた「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表(65)(京都市)らメンバーは涙を流し、手を握り合って喜んだ。
寺西さんの夫彰さん(当時49歳)は、飲食店で調理場の責任者を務めていたが、大規模店の店長に異動後、仕入れ管理や経費削減、営業などを任された。長時間労働でうつ病を発症し、1996年2月、自ら命を絶った。
27日の記者会見で、寺西さんは「夫は二度と帰ってこないが、夫が生きた証しに、こういうことを防ぐ法律を作ろうと頑張ってきた。法律を成立させるだけではなく、きちんと運用していただきたい」と強調した。