SankeiBiz 2014.7.19
パートや契約社員など非正規社員を正社員に登用する動きが広がってきた。背景には、景気回復に伴う人手不足の解消だけでなく、若年労働力人口の減少が招く「採用氷河期」を見据えて人材を確保したい企業の狙いもある。経営者は、デフレ経済下で人件費を競うように削ってきたが、国内市場の縮小やグローバル化で経営環境が変わる中、人材への投資が競争力強化の優先事項になりつつある。(滝川麻衣子)
全日本空輸の客室乗務員、亀山裕子さん(32)は別の企業で働いた後、契約社員として採用され、現在は正社員として働く。念願の職場で働く使命感に加え、4月の人事制度改定が「職場の活気を呼んだ」と感じている。
全日空はコスト削減を目的に平成7年、客室乗務員は入社して3年間は契約社員とする制度を導入。契約社員は、チームのまとめ役にあたるチーフパーサーへの昇格や、事情に応じた休職制度もなく、「下積み期間」と位置づけられた。
しかし、4月からすべて正社員雇用に切り替わった。人事制度改定の理由について、ANA人財大学の西島克博人事部リーダーは「優秀な人材の確保と早期戦力化による質の向上」と説明する。格安航空会社(LCC)や外資の参入で競争が激しくなる中、「サービス差別化は人材。勝ち残っていくための未来への投資だ」と戦略を変えた。